待ち合わせ失敗

 学校の方は特に変わらない1日で放課後が訪れた。

 俺は予定通り家に早歩きで帰ってからゲームのアップデートが終わっているかを確認する。


「終わってるな」


 制服を脱いで部屋着になりながら確認は完了した。

 その後、水分補給をしたり少し小腹を満たしたりしてからゲームを起動する。

 ゲーム世界に入るといつも以上に人が多かった。

 まあ、イベントだから当たり前かといいつつ、ガルドからの連絡を待ちながら露店が立ち並ぶ大通りに向かう。

 大通りにたどり着くとイベントのタイミングだからかフリーマーケット的な雰囲気で店も多く開かれていた。


「あ、ナツさん。こんばんはー!」

「コノミさん。店だしてるのか?」

「そうやで。イベントのタイミングってのもあるけど、倉庫が圧迫され始めてなー」

「そういうことか」


 ガルドからの連絡もまだないし、少しここで時間を潰していこう。


「なんか欲しいものあるん?」

「そうだな。俺は色々使ってるからあって足りないことはないんだが」

「ならなんかかっていかんか?」

「まあ見せてもらおうかな。ところで、すでにイベントって始まってるのか?」

「1時間前に始まったばっかりやな」

「そうか」


 適当に商品を手にとってひとに当たらないように小さく振りながら話を続ける。


「特別マップはそこそこ難易度高そうやで」

「特別マップそんなにか?」

「結構帰ってきてまずは通常マップの素材集めって人多いみたいやし」


 そう言ってコノミさんが指さした歩行を見てみると、たしかにどこからか転移して戻ってきたパーティーが東門の方へ向かって歩いているのが見えた。


「マジみたいだな」

「嘘つく必要ないしなー」

「コノミさんはやらないのか?」

「ウチは別の人に頼んで素材とかポイントだけ集めてもらっとるんよ。代わりにイベント武器の制作とか武器制作優先とかっていう形でな。もちろん仲いい人で」


 まあ友人感でのやりとりなら問題はないだろうな。

 そんなふうに思っていたら、連絡通知が来た。


『光莉とあたしは夕飯後ぐらいからだけど大丈夫?』


 ガルドじゃなくて青葉からだったがまあ言っておいたしな。


「大丈夫だっと」

「うん? 誰かと待ち合わせとかしてたん?」

「ヒカリさんとな。ただ夕飯後らしいんだよな。そんで、もうひとりの男のやつもこないっていう」

「へ~。ウチも気分転換したいし通常フィールドなら軽くいけるけど」

「……ちょっと行きますか」


 まあガルドが帰ってすぐにプレイしてない時点でなにか連絡もできない用事があるのは予想がつく。俺はガルドに『ログインしたら連絡くれ』とメッセージを送っておきながらコノミさんと少しだけプレイすることにした。

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