パパの娘は可愛い双子。だけど前世がドラとメカ!!

酔玉 火種

第1話 プロローグ姉

 どこまでも、どこまでも広がる宇宙空間に浮かぶ巨大なドラゴン。

 何もすることもなく、今日も寝ている。


 少しのを見つけては、つまんで食べる。そんなことを永遠と繰り返している。


 ボリボリ


 『足らんのじゃ。お腹が空いたのじゃ。』


 その宇宙空間には、ほとんど星がない。見える範囲の星を食べ続けているうちに、無限に成長するドラゴンは宇宙のほぼすべての星を喰らいつくしてしまった。


 星を喰らいつくされた宇宙は宇宙を維持できなくなった。宇宙空間を宇宙空間としてささえていた屋台骨の物質がドラゴンの腹の中なのだ。そしてそれは唐突に起こった。空間が空気が抜けた風船のようにしぼみドラゴンに張り付く。


 『なんじゃ?!このまくはなんじゃ?!』


 星々がなくなった宇宙空間は存在空間でなくなり非存在空間に飲まれる。


 『気持ち悪いのじゃ!まとわりつく…なぁぁぁぁぁぁ!!!!!』


 ガアァァァァアアァァァアッ!!!!


 ドラゴン最大のブレス。


 消滅ジ・エンドによって、最後の存在空間もろとも己も消滅した。


 そして、ドラゴンが気づいたときには、ドクン。ドクン。と耳に優しいリズムを刻む音と優しい赤と黄色の光をたたえる水の中であった。


 『こんなに満たされたのは、何億年ぶりかのぉ…。』


 星々を喰らった巨大なドラゴンだった何か・・は、体すっぽり優しい温もりにつつまれて眠りについた。


 優しく抱きついてくる何か・・とともに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る