西松ペアが協力すれば脱陰キャも夢じゃない

@saragi040331

第1話 コミュ障爆発

「今日スタバ行かね?」

「いいね! 行こ! 私バナナフラペチーノ飲みたい!」

「なら決まりな、この授業終わったらすぐだぞ」

「おっけー!」


 その会話を教室の真ん中の席に座っている西山 直哉(にしやま なおや)は携帯をいじりながら、話を聞いていた。


(スタバか、俺みたいなキャラには縁遠い話だな、家に帰って、アニメ見たり、ゲームしたりした方がましだ)


------

「よし、行くぞ!」

「待ってよー!」


「今日暇ー?」

「暇暇」

「なら夜一緒に食べない?」

「あっいいね、それ! 賛成!」


 六限目が終わると、遊ぶ約束をしたり、雑談が始まる、ちなみにスタバの話をしていたカップルはすぐに席を立ち、教室を出て行った。

 俺が通っている西高高校の二年一組は最後のホームルームがなく、終わったらすぐ帰れるという、とても楽なシステムだ。ちなみに他のクラスは知らん。


 それぞれ友達と喋りながら教室を後にしたり、外で友達を待っている人もいる。

 まあ、俺はクラスに友達なんていないし、一年の時なんて、欠席日数ギリギリだったし、そりゃ友達なんてできないよな。


(そもそも、友達と話せるくらいのコミュ力ないし、ゲームでならチャットで話せるから、楽だわ)


 教室には数人残ったところで、俺も片付けを始める。


(メンテ終わるごろだろうし、そろそろ帰ろ)


 机の上を片付け、カバンを持ち、そのまま教室を後にしようとした時、ドア側の席に座っている、松井さんの手元に目がいく。


(あれって、「転生したらゴブリンでした」だよな? 松井さんラノベ興味あったんだ、ていうか、ジロジロ見てると変に思われそうだな、早く抜けるか)


 少しスピードを上げて教室を後にした、すると、教室の方から、椅子の引く音と同時に誰かが走ってきている音が聞こえる。


(後ろ振り向きたいけど、振り向けねえ)


(あの本のことばれちゃったよ、否定しなきゃ!)


 そのまま気にせず、階段を降り、靴箱で靴を履き替えていると、どこからか小さな声が聞こえた。


「えっと、あの......」


 だが、俺はあえてスルーする、だってもしも勘違いで、「あっ、なんですか?」なんて言ったら恥ずかしいじゃん、しかもコミュ障×勘違い、なんて明日、学校行けねえよ!


(話しかけちゃったよお、どうしよう、どうしよ、なんて言おう......あれ? スルー? スルーだけはやめてほしいよ! ていうかもしかして、あんな本読んでたことにより変なイメージ持たれてたり? これはすぐに対応する必要があるけど、話しかけづらいよ)


 気にせず、靴に履き替え、校舎から出る、そして正門に向かう、一本道で、松井さんが俺の名前を出して呼び止めた。


「あの、西山君!」


(名前まで呼ばれると、スルーできねえじゃねえかよ、どうしよ、なんて言おう)


(西山君の足が止まったよ、どうしよ、どうしよ)


 俺は一度心を落ち着かせてから、振り返る。


「えっと、松井さんだっけ、どど、したの?」


(めっちゃ噛んだんだが、コミュ障発動しちゃったよ!)


(私が話しかけたことにより、めちゃくゃ動揺している、これはやっぱり、あのことを気にしているのかな)


 それから松井さんの返事を待ったが、何も返答がない。気まずい。


「え、あ、の」


(どうしよ、コミュ障発動しちゃってるよ、私、しっかりしないと!)


「えっとですね、」


 二人の空間は他の人から見れば、妙な空気だったに違いない、男女がモジモジしながら話しているなんて、勘違いされるぞ!


「......えっと、何もなかったら、俺用があるから行くわ」


 松井さんが何も言わないのを確認しながら、松井さんの方向きながらバックで正門をくぐり抜ける、見えなくなると、すぐに前を向き、いつもより早く歩いて家に帰る。


------


(なんで私止めないのよ! 誤解が解けるチャンスだったのに! それに、友達になれたかもしれないのに!)


 校舎から聞き覚えの声が聞こえてきた。


「紅葉(もみじ)そこで何してんの?」

「あ、う、陽子ちゃん、な、ななにもしてないよ?」


 陽子ちゃんはお目目を猫のように丸くして、私のほっぺをツンツンと指す。


「いや、その顔何かありましたな? お姉様が話を聞いてあげよっか? にひひ」

「ほんと、何もないよ!」

「ほんまかな? ま! いいや、帰ろっか!」

「帰ろ帰ろ」


(明日、絶対話しかける、た、たぶん!)

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