――不可思議な世界で彷徨うボクは――

軽見 歩

リスト-0- <罪・ツミ・詰み>

    また何時でも会えるからと――――――


  また明日――――


そう言ったのに――――




「また明日」


 僕はあの人にそう言って、あの人もそれに応えてくれた、でもその明日は、明日しかなかった


「忘れた物を取りに行かなきゃいけないから」


 この世界には私しかいない、そのはずなのに現れた不思議な人


「ぁ――――」


 あの人が乗る汽車が、砂時計の落ちる砂の様に煙を吹きながら空に上っていくのをを見たまま、私は動く事も出来ずにいた


「わたしの――――せい―――?」


 誰のせいか、なぜこうなったのかも分からず、自分のせいにするしかなかった


「僕も…、強引に飛び乗ってしまっえばよかったのに・・・」


 ここは誰も居ない、だから誰にも邪魔されない


「あ・・・」


 動けない私の代わりに、世界の方が動き出した


「うん…」


 好き勝手に作りあげた世界のかつて輝いて見えた暗い残骸に光が差し、聞こえる声に背中を押されるように私の身体も自然に動き出す


「行こう」


 僕は歩き出しす。この先はきっと、あの人が居る場所があるはずだから

 

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