【死面鏡】

KT

No.1 漆黒の入り口

〜プロローグ〜

世界人口が一兆人を超えた。ある日、

一つの秘密結社が姿を現した。


この組織は人間、一人一人にAa001〜Ma001までのシリアルコードと言う番号を付けた。


そして、一年に一回、世界のを連行し、とある建物に監禁した。


その建物には大事な役割があると言う。


優れている者には光を、優れていない者には闇を与える。


そう、例えるならば花の周りにある雑草を引き抜くような、そんな感じである。


組織 いわく、この世界は弱肉強食であり、弱き者は必要ない。らしい。


増えた人口の間引きと言っても過言ではない。


しかし、シリアルコードは組織の勝手な妄想に過ぎなかった。


だから、監禁し本当に優れた者だけを残した。


〝残さなければいけなかった〟






ここはどこだろうか。


オレは気がついたら真っ白な部屋にいた。


いや、訂正しよう。オレ達と、


部屋の角には一人ずつ人が座っている。


男もいれば女もいる。


正面には裕福そうな小太りの男、右隣りには服がボロボロの痩せた女、左側には黒人の体格のしっかりした男。


俺を含めて四人いるのだろう。


辺りを見回している奴もいれば、体育座りで顔を覆っている奴もいる。


まず、状況を整理しよう。


俺は目をつぶり、何故ここに居るのか過去の記憶をあさった。


しかし、何も出てこなかった。自分の名前までも。


俺も部屋を見渡した。この部屋では、奇妙な所がいくつもあった。


(扉が無いことだ。俺達は何処から入れられたのか。)


(そして、何故ここに居るのだろうか?)


それに不思議なことに手足が拘束されていない。


自由に動き回れるのに、誰一人動こうとはしなかった。


静かな時間がただ通り過ぎる。


間もなくして、声が響いた。


「やあ、皆の衆。目が覚めたようだね。」


その声はとてつもなく野太い声だった。


地声ではない、音声を変える機器を使っているのだろう。


「まず、ここのルールを覚えてもらおう。

ルールは四つある。


その一 言葉を交わしてはいけない。

その二 とどまらない。

その三 走ってはいけない。

その四 他の奴にヒントを与えない。


ルールはこれだけだ簡単だろう?」


俺は思った。そもそもこの声はどこから聞こえるんだ?


(部屋にはスピーカーらしき物は無かったはず

なのに何故?)


「言い忘れていたよ。

君たちの身体を少し、いじらせてもらった。

こっちの声は脳に直接届いているだろう?」


(俺の心をよんだのか?それともたまたまなのか?)


俺の中でコイツの怖さが何倍も増した。


「これから、お前達には、シリアルコードを教えよう。」


(他の三人にも、同じような言葉が聞こえているのか?)


(コイツの言葉は皆、同時に聞こえているのだろうか?)


俺は考えた。考えても仕方のないことを。


「お前のコードはAa215だ。覚えておけ。」


部屋の角にいた四人は同じタイミングで反応した。


直後、俺の右側の壁から、長方形の形に亀裂が現れ、どこまでも暗闇が広がっている入り口が姿を現した。


そしてまた、ヤツの声が聞こえた。


「入れ。ここから先は私の創ったAiに任すとしよう。」


俺はここの建物から一刻も早く出たいと直感的に感じた。


俺はヤツに従うまま、その入り口に入った。入るしかなかった。


ほかの三人も俺の後を追うように入った。俺は響いている足音でそれを確認した。


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