第5話いくつ当てはまる? 偽キラキラ女子度チェック

 「じゃあ、二人とも、この用紙に当てはまるチェックを入れてくださいね。あかりさん、まなみさん」

 まなみの腹筋が委縮するのがあかりの目に映る。彼女が着用しているのはタイトなセーターだから。やる気に満ちた、張りのある声で返事をする。

 「……はい」

 一方、同じフレーズでもあかりは委縮ではなく、視線でゆうきを圧迫しようとする。

 それでもゆうきは鉄壁の笑顔に凹み一つ作らない。ペンケースから飾りのついたボールペンをあかりに差し出す。

 「え、ピカチュウ?」

 「あ、私のはポムポムプリンだ」

 あかりとまなみは互いの手に持つボールペンを見合わせる。

 「私、ポケモンとポムポムプリンが大好きなの」

 痛いアラサー、とは二人とも口にすることができない。二枚の紙を同時に爪で打つゆうきが若い凸凹の空気圧を、細目から覗くトンカチで平らにする。

 批判という出る杭を、ゆうきは許さない。

 彼女が持つ独特のオーラがトラップとなり、あかりとまなみはようやく視線を降ろす。

 彼女たちの視界の中で、二体のキャラクターが躍る。次々とレ点が用紙に書き足される。

 以下、二人が受けたチェックシート項目。


 □翌日のコーディネートが決まらず、当日ギリギリまで慌てて服の山を漁る。

 □手持ちの服やアクセサリーのデザインや所有数を把握しておらず、ショッピングのたびに似たようなデザインの物を複数購入する。

 □ゴミ箱の定位置が決まっておらず、いつも裸のレジ袋に不用品を詰め込んでいる。

 □メイン、サイドともにテーブルの三分の二以上のスペースが空容器などで埋め尽くされている。

 □化粧品はポーチやドレッサーの引き出しにしまっておらず、いつでも使用する物が机上に散乱している。

 □毎回の自炊はカップラーメン、ごみはそのまま。また、シンクは使用済み食器で埋め尽くされている。

 □お風呂にはカビが何か所にも生えていて、浴槽にはぬめりがある。



 あかり、まなみに該当するチェック項目、七個中七個。


 偽キラキラ女子、二人も確定する。

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