盗まれた偽物の宝石《自主企画アンソロジー》

冬野ゆな

特に読む必要の無い「はじめに」

 アンソロジーとは、異なる作者による撰集のことである。

 日本では商業か同人かで違いもあるが、この場合は「異なる作者による、同一のテーマに沿った短編集」くらいに思ってくれればそれで良い。


 短編集といってもさすがに書いたものをそっくりそのまま持ってくるわけにもいかないので、私のやることと言えば、ありがたくもこの企画に参加いただいた皆様の作品に感想をつけたりリンクを張ったりするぐらいだ。

 はっきり言ってほぼ自分しか得をしないような企画に、面白そう、参加してみたいと思ってくれただけでありがたい。せめて期限内くらいは足を向けて寝ないように気をつけたい。


 今回のテーマは「盗まれた偽物の宝石」だ。

 そして私はミステリ好きである。そもそも盗まれた宝石という時点で事件だ。


 しかしその盗まれた宝石は偽物なのである。


 だが「盗まれた偽物の宝石」とは、美しい宝石のような姉に比べて偽物と蔑まれた妹が心を盗まれ救われたのかもしれないし、殺人現場から持ち去られた宝石が実はイミテーションで、その理由がなんと――という展開かもしれない。

 いずれにせよ何の話がやってくるかは始まってみないとわからないし、終わってみないとどんな話が持ち込まれたかもわからない。

 まあ後は、「怪盗」の話が増えてほしいという個人的な下心から、ちょっとした露骨な誘導もしたけど。


 ところで先日、本屋にふらりと入って新刊のコーナーを見ていた。

 すると一冊の本が目に入った。

 おや動物園の話か、タイトルからしてファンタジーかな――と思って手に取ると、なんと、ペンネームの漢字の中に動物の名前が隠れた作者による、動物にまつわるアンソロジーだった。

 ……なるほど、と思った次第である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る