SILVERMAN―シルバーマン―

Next

銀色の戦士(1)


ー宇宙ー


ヒュゴォォォ……

「キシャアアアア!!」

『奴め…地球に逃げ込んだのか!?』

ゴォォォォ…

『しまった…体がもたない…!!ぐぁぁぁぁぁぁ!!』



「……?流れ星かな…?」

僕はこの時、空から降ってきた物が流れ星だと思っていたんだ。だけど、それは僕にとっても運命的な出会いだったんだ…


SILVERMAN―シルバーマン―



「あっくん?あっくん!」

「えっ!?どうしたのミカ!?」

「どうしたのって…もう授業終わってるよ!あっくん一時間丸々寝てたから…」

うーん…授業寝ちゃってたのか…それにしても何でだろ…昨日はぐっすり寝たはずなんだけどな…

「あぁごめん。僕なら大丈夫。」

「でもあっくんが授業寝るなんて珍しいね。今日はどうしたの?」

「特にこれといってないんだけど…」

「あら。じゃあ偶然だったのね。」

「そうだね。多分…」

そうだねとは言いつつも結構不可解だ。ミカが心配するほどだし。でもこういう話に乗ってくれるミカは凄い優しいと思う。ミカとは小さい頃からの幼馴染みで仲が良い。だけど僕は仲が良いとは別に彼女に好意を抱いている。これまで何度も告白しようとしてきたがどれもこれも失敗している。

「あっくん今日も購買行くの?」

「うん。早くしないとカレーパン売り切れちゃうからね。」

「じゃあ私先に屋上で弁当食べてるから!私の分もよろしく!」

「オッケー!行ってくる!」

彼女のためにも早く購買の場所へ行かなくちゃ。



「はい、毎度あり。」

「ありがとうございます。」

運良く二つ買えた!ここのカレーパン結構人気で売り切れ続出してるんだよね。


ー屋上ー


「あ、あっくん。どう?買えた?」

「危なかったけどしっかり買えたよ。はいこれ。」

「わぁ!ありがとうあっくん!」

ミカは満面の笑みでカレーパンを受け取った。その笑顔に僕はドキッとした…



「やっぱ美味しいねここのカレーパン。」

「美味しいから人気があるんだよ。単純に。」

二人で他愛もない話をしながらカレーパンにかじりつく。こんな生活が崩れてほしくないと僕は心底思ってしまう。そんなこと絶対ないのに…



「ご馳走さま。ありがとうね。」

「いえいえ、どういたしまして。」

そう言い、僕とミカは教室に戻っていった。


ーその夜ー


『地方では明日、激しい雨が予想されることでしょう。』

ニュースの天気予報を見ながらカップラーメンをすすっていた。僕は両親と離れてアパートで独り暮らしをしている。両親は仕事が忙しく、時々しか会えない。生活には困っていないものの、何だか少し寂しい。そんなことを思っていた時―

ドゴォォォォン!!!

「何っ!?」

ズシン…ズシン…

爆発音のような音の後に足踏みのような音が聞こえる…カーテンを開け、窓を見るとアパートから少し遠いところに巨大な生物が街を踏み倒して歩いている!

「何だ…あれ…」

僕は急いでアパートを下り、外に出た。火災が発生しているのか黒い煙とオレンジ色の火が見える。自分も逃げようとした時、背後から声が聞こえた…

『そこの少年!こっちだ!』

「君は誰!?」

振り向くとドロドロとした金属の液体が喋っている!?変な生物が現れたせいでまさかこの変な液体も!?

『落ち着いて聞いてくれ。私は、宇宙金属生命体シルバーマンだ。あの怪獣を追って地球に来たのだが、見て分かる通りこんな姿になってしまってな。誰かの体を借りなければ私は実体化出来ない。頼む…君の体を貸してくれ!』

僕の体を貸せって!?話が全く読めない!

『あの怪獣を倒すには私しかいない!君の体を借りるのは戦う時だけだ。身の安全は保障する!』

「分かった…僕の体貸すよ!」

『協力、感謝する!』

シュルルル…

シルバーマンと名乗る謎の液体は僕の腕に纏わりついてブレスレットへと姿を変えた。

「これを…どうすれば?」

『そのブレスレットに触り、そして「SILVER CONTACT(シルバーコンタクト)」と叫ぶんだ!』

何だか良く分からないけど…やるしかない!

「SILVER CONTACT!!」

シュゴォォォ……

不思議な銀色の光に包まれ、目を開けるとまるで電子空間のような場所にいた…

「ここは?」

『君と私が一体化したんだ。後は私に任せてくれ。』

目の前のモニターのようなものを見るに僕は巨大化したシルバーマンの中にいるみたいだ。シルバーマンはそのまま怪獣のいる方向へと走っていく。

ズドン!ズドン!

『そこまでだ!ここからは私が相手になる!』




「銀色の…何あれ…?」

続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る