一回戦 VS安座真チーム

4-1

 トンデモドッジ大会は、ゴールデンウィークを何日か使って行うことになった。一回戦があるってことで集められた場所は、町から離れたところにある公園。

 私たちは、メイドさんが運転する車で向かった。ユニフォーム姿でだ。

 オリジナルのユニフォームを考えたかったけど、今回はツグミちゃんがかかっているので練習以外のことに時間を使えなかった。だから海道かいどう君が用意したものを着ている。

 青くて、胸もとに「TEAM HABA」とししゅうしてある。海道君は「TEAM TOUJIだろ」といっていたけど、そっちの名字はまだしっくりこない。

 たどりつくと、公園じゃなくて空き地って気がした。広場は大きいけど、遊ぶものは端っこに小さなブランコやすべり台がある程度。

 どうしてこんなところ? もっと行きやすいところにしてくれればよかったのに。私はそういいたくなった。

 町から離れていても、人は集まっている。観客いっぱいじゃなくて、それぞれのユニフォームを着た選手。「参加資格 九~十二歳」ということで、みんな私と年が近い人。

 年が近い人より多いのは鉄仮面の人。ドッジロイドもたくさん用意されている。しかも各チームのユニフォームを着ている。変な風景だ。

 公園に足を踏み入れるなり、視線が私たちに集まった。にらんでくる人までいる。

「おそらく、こいつらはみんな元大臣が王国から送ってきたトンデモドッジ選手だ」

「だよね。ヘンテコなドッジをやる人が日本にここまでいるなんて思えないし」

「お前はそれをやる国の姫なんだがな……まあいい。この殺気立った空気からすると、ココを倒せば元大臣から褒美が出るとかいう取り決めになっているんだろう」

 つまり、みんな私たちの敵。そう考えると怖い。

「こっちのチームにいる人間メンバーは、ぼくとココだけ。陛下から人手を送ってもらえることもなかった。参加資格に『トンデモドッジ経験者のみ』とあったので、運動神経がいいものを学校から連れてくることもできない」

 海道君は苦い顔をしていた。まったく、親も意外と冷たい。

 学校のことはむしろ好都合。もし、ツグミちゃんがここで大仁君にいじめられたら? そんな姿、ツグミちゃんはみんなに見られたくないはず。

「よく逃げずに来たな! バカココ!」

 聞くだけで腹が立つ声。振り返ると、大仁おおひと君が私たちのそばまで来ていた。

「お前をつぶすために選手がたくさん集まった! どいつもこいつも実力があるやつだ!」

 やっぱり罠。私はギクリとしていた。

「どうだか。金でどうにかかき集めただけの連中だろ」

 海道君は鼻で笑う。

「お前の父親は忠誠心のないやつだと王国で有名。そんなやつの息子が関わっている大会に出たと王国で知られたら、つまはじきものにされることもありえる」

 元大臣は、かなり嫌われているみたい。ドッジの国なだけあって、ドッジ関係にはきびしい。

「減らず口を!」

 大仁君、海道君をムカッとした様子でにらむ。次に私も。

「一回戦でいきなり負けたりしねえように、せいぜい気を付けろ!」

 足音を踏み鳴らしながら去っていく。

 今のところ、大仁君は一人。ツグミちゃんの姿はなかった。会場のどこかにいる?

 見渡しているうちにアナウンスが響いた。開会式を始めます、と。

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