ショコラトル戦記－Black＆Bitter－

雪原のキリン

　――昔々の遠い国のお話です。争いの絶えない種族がいました。種族達は十二の国を隔てて住んでいました。

　そして、人間の国のあるお城。王様が玉座に座り、驚きながら家臣に対して言いました。

　「……なに？『フル・ドローシャ』の地脈が枯れただと……？それは困ったことになった！！」

　「はい。そうらしいんです。王様。このままでは、国民は治安が悪くなり、暴動が起きるでしょう。そうなる前に新たな対策を練らないと、大変なことになりそうです。悪いモンスターも出てくると思いますよ！」

　「ううむ、困った。このままでは、国民達の医療は愚か、財政は逼迫（ひっぱく）してしまう。貧困の差がさらに増すばかりではないか。……直ちに原因を突き止めてくれないか？」

　「はっ、分かりました！」

　家臣は原因を突き止めるために、馬に乗って駆け巡りました。しかし、一向に原因は見つかりません。

そして、王様は国中に御触れを出しました。「フル・ドローシャの地脈が枯れた。地脈を復活した者には報酬を与える。額は問わない」と。しかし百年経っても、二百年経っても、地脈が復活することはなかったのです――。

　――この話はあるⅫ（じゅうに）の国がある世界が舞台の話です。当たり前のようにコンビニやスーパーに行けば、ワンコインで手に入る「あの甘ーい、ホッとする茶色いお菓子」。それをこの世界では、人々が血眼になって奪い合っていたのです。地脈が枯れてしまった二百年以上前から。そんな中「一人の平凡なヒロイン」が統治をしていくのですが。少しずつ、紐解いていこうではありませんか――。