第30話 コピー機

公民館は高齢者の利用が圧倒的に多い。だから、

「ロビーに置いてあるコピー機の使い方を教えてほしい」

という問い合わせがよくある。

教えてほしいとひとことで言ってもその中身は十人十色。

「スタートボタンはどこ?」

「お金はどうやっていれるの?」

「500円入れてもお釣りは出てくる?」

「原稿の濃度が薄いから濃くしたい」

「A4とB4の違いって何?」

……などなど。

公民館の職員は、事務屋であって、事務器屋ではない……なんて、彼らに通じるわけもなく、日々試行錯誤しています。

特にやっかいなのは、

「この手芸の型紙を引き伸ばして大きくしてほしいの」

という拡大縮小機能。

実はこの機能、大きすぎても、小さすぎても首をかしげられる……というお客さんと職員の阿吽の呼吸が必要な機能なのです。

ううむ……

ジャストフイットは難しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る