第20話 いくらなの?

○×公民館は、営利料金(通常料金の5倍)さえ払えば一般の会社も使用することができる。

そんなわけで、最近、健康食品の販売会社の使用が増えてきた。ちょっと怪しい会社も混じっているが、条例では違反にならないのだ。なお、ターゲットは元気なお年寄りである。

窓口には、

「今日、ここで、このハガキの会、なかったかしら?」

と言って、健康食品のチラシが印刷されているハガキを見せるおばあちゃまがたが出没する。

「そうですね……」

この手の会社の名前は我らアラサー世代でもちょっと覚えにくい。考えていると、

「△さん。おはよう。こちらですよ」

おばあちゃまの肩に手をぽんと優しく置いて、笑顔で答える爽やかイケメン男子が現れた。

「あら。おはよう」

おばあちゃまは、テンション高く去っていく。イケメン男子とともに。

健康食品は恐ろしいほど高い。あのイケメン男子はいい商売ができると思ったに違いない。

……しかし‼

あのおばあちゃまの中では、

『イケメン男子のスマイル=プライスレス』

なのだろう。




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