第2話ブロンド

「それではどうぞ」


校長の言葉に、舞台袖から女生徒が次々と姿を現す。


「マジかよ、、、」


男子生徒達は息を呑む。


壇上に現れたのはブロンドやオレンジ(赤毛)の髪を靡かせブルーやグリーンの瞳を輝かせた白人の美少女たちだった。

全員ブレザーの制服を着ている。

赤と緑と茶色のチェックのスカートからは、白い脚がスラリと覗く。

私語は無くなったが、固唾を飲み込む音は静寂に広がる。

それは巨大な衝撃だった。

例えるならば、マリオの1-1で最初に登場するクリボーの代わりにピーチ姫が登場するような。

女慣れなど全くしていない男子高校に通う生徒にとって、制服に身を包み現れた白人の美少女たちはロイヤル・ストレート・フラッシュなみに威力抜群だ。

しかも、である。

ピアスもタトゥーも日焼けもしていない、勿論アルコールやドラッグとも無縁。

ハリウッド映画に登場する役者の様に芝居がかった表情もしない。

思春期の男子高校生にとって、天使か妖精でも現れたかの如し。

或いは女神か。


「ヨーロッパやアメリカから、日本語を不自由無く喋れる女生徒を招聘しました。なにか質問が有れば受け付けます(つーか君等の方が日本語不自由だよね?)」


校長の言葉に一人の生徒が挙手をした。

彼の名は上野修也。


「あいつ、札付きの悪じゃないか、どう言う積りだ?この場を台無しにする積りじゃないだろうな?」


修也は県外にも名を轟かせる悪童だった。彼に逆らう不良はいない。

体育教師の大村は不安に駆られる。


「どうぞ」


校長は発言を促す。

修也が口を開く。


「我々生徒一同は、校長先生閣下の前代未聞の英雄的決断に心から尊敬の念を抱き、感謝の気持ちを拍手として送りたいと思います!一同、校長先生閣下に渾身の拍手!!!」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!


開校以来、最大最長の拍手が送られた。






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