アマーリアからイロナ・コルヴァンへの手紙

親愛なるイロナ様

 聖ジョージの日前夜の宝探しを終えたことを、ご報告いたします。

 財宝を金額に換算すると、およそ百万フォリントに達するかと思われます。ここ数年では一番の稼ぎとなりました。なかでもイブロンカの見つけた黄金で出来た林檎と、マリシュカの見つけたサファイアの首飾りが特にすばらしいので、イロナ様にもぜひ今すぐにでもお見せしたいです。あと、ドロッチャは自分でほとんど財宝を見つけていませんが、代わりに農夫をおどかして追い払うのが上手でした。ある意味では彼女が一番の功労者かもしれません。

 さて、イロナ様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。スコロマンスへはまだ帰れそうにありませんか? わたくしから言い出した手前、仇討ちなど放り出して帰って来てほしいとは、口が裂けても言えないところではありますが、ここはあえて白状します。わたくしはさびしいです。早くイロナ様に会いたいです。

 このごろ、イロナ様の夢をよく見ています。夢のなかでイロナ様は、誰かの墓の前で泣き崩れているのです。何とか慰めて差し上げたいと思うのですが、わたくしは何もできず、ただ見ているだけ。あまりにも真に迫っている光景なので、目が覚めてから夢だと理解しても、現実の出来事ではないかと疑ってしまいます。

 本音を言えば、今すぐにでもイロナ様のもとへ駆けつけたいです。しかしイロナ様から留守をまかされている以上、わたくしがスコロマンスを離れるわけにはまいりません。ああ、なんというジレンマでしょう! 初めてご意思に背きたいと思いました。

 とにかく、ご無事でのお戻りを心待ちにしています。

アマーリア

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