遠回しな非難

 遠回しな非難を表現するための技法。代表的なのが反語である。古文の授業などで習う「○○だろうか、いや○○ではない」をそのまま使うのは難しいが、それ以外にも反語に分類されるものがいくつかある。

 反語の前には、これは反語ですよ、と示す何らかのサインがあることが多い。言葉でのほのめかしの他に目配せだったり、人差し指と中指をクロスさせるなどのジェスチャーの場合もある。サインがない場合は常識で判断することになるので、わかりやすくする必要がある。


1. 質問に対して極端な回答を返す。(p501)「『本当に死んだんだろうな』仲違いを企む者が疑いの目で俺を見た。ついさっきまで相棒だった男の体から剣を引き抜き、俺は答えた。『これで死んでなきゃ、コイツは不死身の化け物だ』」


2. 不適切な言葉をあえて使う。(p505)「戦場には激しい戦闘の跡が生々しく残っている。折れた砲身、焼け焦げた戦馬の死体、籠手が付いたまま、地面に突き刺さる剣……。生き残った兵士たちは憔悴しきって、うなだれている。その時突如、丘の上に王の乗った豪華な馬車が現れた。それは兵士たちの惨状をするようにしばらくそこにとどまり、そして去った」


3. これ以上は言わない・書かないと前置きしたり、善意を匂わせてから、それを無視する。(p502, p503)「できるだけ好意的に解釈したいのでもう言わないが、将軍の戦術はあまりよくはなかった。不利な地形で、無駄に突撃を繰り返し、多大な損出を出してしまった。彼はこれを自軍の士気の高さを見せつけ、相手を怯ませるためだと言っているが、はっきり言ってただの愚行である」

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