乳紙〈後編〉

 乳鎧を着た二谷を前にして、ビフィの乳房はプルプルと震えた。


「サーモ・フィルス! ブルガ・リクス!」


「ビフィ殿!? やはりビフィ殿でござる!!」

「よくぞご無事で!!」


「真乳に申乳訳ない! 申乳訳のうござる!!」


 ビフィは二谷の元へと駆け寄り、三谷は乳を寄せ合った。


「毎日、毎夜、川の向こう岸まで探しに行っていたのですぞ! いやはや、良きかな、良きかな」


 旧乳との再πのあとも駄乳をこねるビフィは、ついにカルボ王国の巨乳門前に立っても溜め乳を漏らしていた。


 もうすぐ陽が暮れるためか、城の門は今まさに閉じられようとしている。


「やはり、ここで呑み逃してはくれんかのぉ。もう、乳が漏れてしまってかなわん」

「ええっ……」「そんな……」


 サーモとブルガの慌てふためく乳を押しのけ、王子がビフィの前に歩み出た。


「何を言っておる! もう国に着いたではないか!」

「じゃが、これからの揉まれようを思うと、恥ずかしゅうて、恥ずかしゅうて――ひぃっ!」


 いつまでもグズグズしているビフィの乳房を見かねた王子は、彼乳の乳を後ろから丸掴みにした。


「おぬちの乳上の乳はどんな味だ? わちに教えよ」

「……国一番の酸っぱさで有名で、みんなは『酸っぺぇ、酸っぺぇ』言うとったなぁ」

「それでも、そちにとっては美味ちかったのだろう?」

「もちろんじゃ! 天下のあらゆるを乳を呑んできたが、わっちにとっては、おっぱぁの乳が一番じゃった!」


「そうであろう。呑みたいであろう。幼き頃に味わったおっぱぁの味を、よぉぉく舌の上に思い出すのじゃ」


 ゴクリと、ビフィの喉が鳴った。


「今ここで立ち去ったりなんぞしたら、そちは二度とおっぱぁの乳を味わえぬやもしれぬぞ?」


 ピクピクッと、ビフィの胸が騒いだ。


「そっ、それは……!!」

「それだけでない。オリゴ乳王の乳もじゃ。乳臣や乳官の乳を呑み続け、さぞや立派に育った甘い甘ぁい乳を呑んでみたいとは思わぬか?」


 今度は周囲の者にも聞こえるような大きさで、ゴキュンと喉が鳴った。


「あぁ……それは……」

「今ここで帰らねば、このことを一生後πすることになるぞ? 『あぁ、あのとき乳を呑みたいと申しておれば』と、乳を落とす間際に思うことになるぞ?」

「そっ、そっ、それはぁ……」


「さぁ、わちと共に来い!! 一緒に酸っぱい乳と、甘い乳を呑もうではないか!!」


 ビフィ・ズスの胸の内は固まった。


「乳意!!」


 どんなに笑われようとも、どんなに恥ずかしい目に逢おうとも、美味しいおっぱいが呑みたい。


 彼乳ら二谷の様子を後ろから見ていたチムとゼインは、王子の乳捌きに胸を震わせた。


「さすが王子でございまする」

「乳への執着は、比べるまでもなく天下一でございましょう」


 サーモとブルガが門前の乳衛兵に話しかけ、閉まりかけた巨乳門を開けさせた。

 再び門が左右に開くと、その右隅に一谷の乳民が振り返っていた。彼乳は門の外に立っていた予想外の乳房を目にして、その乳をみるみる膨らませていった。


「おっ、おっ……おっぱぁ……」

「その乳は……ビフィだね!」

「おっぱぁ!!」


 ビフィはその柔乳を、クーパー靭帯も千切れんばかりにブルンブルンと振り乱し、自分の最も愛する胸元へと飛び込んでいった。


「会いたかっただぁ! おっぱぁ!」

「よしよし、よぉく帰ってきた。ほらお呑み、おっぱいだよ」


 その乳房は全盛期の張りを取り戻し、漲る乳汁をビフィの顔面に噴射した。そして飲み込む間にビフィの顔を乳汁でベトベトにしていった。


「わっち、わっち、おっぱぁに迷惑かけただ……王子を見失って、置いていって、うっぐ、申乳訳ねぇ……」


「ぺただねぇ、ほんとに乳の無い子だよ、まったく……」


 ビフィの顔が彼乳の胸元に押し付けられ、そのポヨポヨの谷間に埋まった。


「そんな貧な子でもねぇ、わっちにとっては自慢の乳だよぉ。かけがえのない、わっちの乳だよぉ。よぉく帰って来てくれた! もう挟んで離さないからね!」

「おっぱぁ! うんめぇ! おっぱぁの乳が、一番うんめぇよぉ!!」


 ビフィは目の前の左乳首に猛然と吸い付いた。呑めども呑めども乳の泉は溢れていった。


 そんな愛くるしい親子の再会を、そばで見つめる者がいた。胸元を乳飾りで包んでいた乳房は、この世のものとは思えないほどの美巨乳だった。


「おやおや、まるで赤子じゃな」


 乳を呑みながらその胸元を流し見たビフィは、乳衣から透けていた見覚えのある乳輪の形に驚き、ようやく乳首から口元を離した。


「オリゴ王子!!」


 すかさずビフィは彼乳の前で乳まずき、両腕を胸下にしまい込みながら、乳王に対して最大の謝意を示した。


「王子!! この乳を斬り落としてくれぃ! でないと……でないと、わっちは申乳訳が立たねぇ!!」


 するとオリゴ乳王は、その美巨乳を地に擦り付かんばかりに屈み込み、ビフィの顔をその美巨乳で挟み込んだ。


「よくぞ生きて帰ってきた。乳守ビフィよ」


 ビフィはオリゴ王に起こされ、そのプルプルの谷間に埋められながら見上げた。

 弾力のある美巨乳に包まれると、ビフィは下腹部が熱くなり、下の乳が膨らみつつあるのを感じた。


「オリゴ王子ぃ……」

「おやおや? おぬちらの授乳を見ていたら、わっちの乳も張ってきたようじゃ。はてさて、この中に誰か喉の渇いている者はおらぬじゃろうか?」

「では――」

「わちが呑むぞ!」


 谷間からビフィが顔を出すよりも先に、何乳かが前に出た。

 挙げられた小さな右乳は、紛れもなくバスティ王子の微乳だった。


「「おっぱっぱっぱ!」」


 騒ぎを聞いて集まってきたカルボ王国の乳民たちは、あまりにも威勢のいい王子の挙乳に、胸をたたいて笑った。


「わたちちの乳がお呑みになりたいのですね。ここでは皆が見ておりますゆえ、あちらに参りましょう」

「離せぇぇええ!! わちが呑むのぉぉぉおおお!!」


 フェリンは王子の顔を谷間に埋めながら、笑い転げる乳民たちの乳団をかき分け、引きずっていった。


「そちにはあとで、たっぷりとな? ほれ、ビフィ。おぱおぱしてると誰かが吸ってしまうぞ?」


 黄金色の乳袋から、トロリと乳汁を滴らせた美巨乳が剥き出しになった。それ見るや、ビフィは居ても勃ってもいられずにその乳桃ちもも色の乳首へと吸い付き、そして叫んだ。


「かぁぁぁ!! 王子のおっぱいも、うんめぇ!!」

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