勿忘草に詠えば

 砂浜、波の音、水平線。

 もういない君を待ちました。

 勿忘草に詠えば

 君はよく言っていました。壊れたぼくは、何度もそれを繰り返しました。

 けれど、白い花は君を連れてきませんでした。

 赦してください。ぼくは、やっぱり、君がいないとさびしい。

 風が吹きました。

 振り返ると君がいました。笑ったまま泣いていました。ぼくは笑いました。

 勿忘草に詠えば

「待たせてごめんね」

 ぼくは君を抱きしめました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る