第7話 相葉美波

私は小さい頃から親の言う事をよく聞く真面目な子だと言われてきた。テストをすれば学年トップクラスが当たり前、運動でも部活以外の競技でさえ県大会で上位に入るのが当たり前だった。

でもそれは結果を聞く親としては当たり前なだけであって、当の本人は必死で努力をした。テスト前には寝る間も惜しんで勉強したり、部活以外の競技の練習も部活が終わった後でしていた。

親はそれを『何でもできるすごい子』って勘違いをしていた。


本当の私を知りもしないで


テストや大会が近くなって来ても親は私に何も聞いては来ない。わざわざプレッシャーをかけなくても、美波ならちゃんとやってるから大丈夫という変な安心感があったからだ。


だって私は真面目な子だから


でも、私はそれがすごく重荷だった。テストでも運動でもいつも結果を求められているようで毎日が息苦しかった。両親はプレッシャーをわざわざかけないんじゃない。毎日無言のプレッシャーを与えていたのだ。

そんなある日、毎年夏に家族で行く旅行で事件が起きた。

私はこの日初めて父に反抗をした。きっかけは些細な事だった。浅瀬で川遊びをしていた時、もう少し深くに行ってみたくなった私は川の深淵へと行こうとした。当然父は止めたのだが、私はそれを無視して深淵へと行ってしまった。


私の最初で最後の父への反抗だった


深みへ歩み出した瞬間に私は水流に足を取られて流された。女子中学生の力ではそこから這い出る事は不可能であった。私は死を覚悟した。でも私は死ななかった。父が助けてくれたからだ。己の命と引き換えにして。


父の死に対して誰も私を責めなかった。それどころか母は以前より優しくなった。私にプレッシャーをかける事も無くなった。


でも私は罪の意識で潰されそうになった


毎日が苦しかった。私が馬鹿な事をしなければ、反抗なんて子供じみた事をしなければ父は死ななかった。

明るく振舞ってはいたが心の中は罪の重さで壊れそうだった。


一方で、私を慰めようとして男の人が声をかけてくる事が多くなった。

でも、その男の人たちは欲に塗れていた。私に性的な何かを期待して近づいて来ている事がわかった。私は以前から男性のそういう気持ちが読み取れてしまう。だから男性が近寄ってくるのが怖くて気持ち悪かった。だから高校への進学は女子校を選んだ。男性とは関わりたくなかったからだ。私の学力から考えるとランクを随分落とす事にはなったが母は同意してくれた。

ただ、女子校を選んだのにはもう1つ理由がある。それはその女子校が全寮制だったからだ。そうする事で私は家から逃げられた。父への罪から逃げる事ができた。


私は最低な人間だ


大学2年生の時に大きな転機が訪れた。

夜にネットサーフィンをしている時に変なバナーが現れた。


『あなたの歴史を変えませんか?』


歴史を変えるってどういう事だろう。人生を変えるって事かな?それとも何かの宗教の勧誘?普通ならこんなバナーをクリックするわけはない。どう考えても怪しいサイトへ繋がっていそうだもの。

でも私はそのバナーをクリックしてしまった。もしかしたらと期待してしまったからだ。


その先にあったのは通常では考えられないような不可思議な世界だった。ゲームをクリアして特定のアイテムを手に入れると過去の世界へ行き、人生をやり直せるらしいのだ。普通ならそんな馬鹿げた話を信じるわけはない。だけど、信じざるを得ないほどそのゲームは説得力のあるものだった。ゲーム内とは言っても自分自身が生身のまま動く事ができ、スキルという特殊能力を使う事ができた。こんなものを見せつけられたら信じざるを得ない。

そしてこの時に私に希望が生まれた。


父の死を無かった事にできるかもしれない


私はこのゲームを頑張ろうと誓った。

父を助けようと誓った。


でも…私の考えは甘かったと思い知らされた。



イベントに参加してメモリーダストというアイテムを集めないと過去へは行かれないので私も初めてイベントに参加する事にした。

私が参加したイベントは、バディイベントというものらしい。ランダムで他のプレイヤーの人とバディを組んで相手バディを倒すというイベントだ。だが敗北した場合にはペナルティーがある。敗北バディは勝利バディの支配下に置かれる事となる。早い話が奴隷になるという事だ。女の私が男のプレイヤーに負ければどんな事になるかは容易に想像できる。負けるのは恐ろしい。だけど参加しなければメモリーダストは手に入らない。要は負けなければいいんだ。大丈夫、勝ってみせる。そんな甘い事を考えていた。




イベントが始まりバディを組まされた。私のバディは和田さんという小太りの中年男性だ。男の人と一緒なのはすごく嫌だったが仕方がない。コミュニケーションを取ろうと明るく努めた。


「初めまして。相葉美波です。よろしくお願いします。」


「私は和田義雄。いやぁ、可愛いね美波ちゃん!おじさん君みたいな可愛い子初めて見たよ!芸能人よりも遥かに可愛いよ!」


「…ありがとうございます。」


初対面で下の名前を呼ばれる事に凄い嫌悪感を抱いた。それにこの人…性的な事しか考えていない。吐き気がする。でも我慢だ。我慢するしかない。


「このイベント終わったら外で会わない?私はお金ならあるからさ。」


そう言いながら距離を詰めてくるので私は話をそらした。


「わっ、和田さんってどんなスキルを持っているんですか?」


私が話をそらしたからだろう、明らかに不機嫌そうな態度に変わる。


「私はアンコモンしか持ってないよ。こんなゲームに大金使うなんて考えられないからね。適当にプレイするだけだよ。」


「でも…負けたら奴隷になってしまいますよ?しっかりやりましょうよ。」


「美波ちゃんがおじさんのお願い聞いてくれたら頑張っちゃうんだけどな!」


「あはは…。まずは相手バディを探しましょうか!」


どうにか和田さんをあしらい、相手バディを探す事にする。この東京のような場所でどうやって探せばいいんだろう?特徴とかあるのかな?

そんな事を考えている内に人気の無い道へと進んでいる事に気づいた。どうして道がそれてしまったんだろう。早く人気のある道へ戻らないと。


だがその時だったーー


「はい、みーつけた!!おっほっほー!!女や!!女やで!!それもとびっきりの上玉や!!なぁ、シンさん!!」


男が曲がり角から現れ、誰かを手招きして呼んでいる。

敵バディだ。間違いない。


「そんな…どうして…?」


何で私たちがプレイヤーだとわかるんだろう…?それにどうして場所がわかったの…?

ダメ。落ち着かないと。考えなきゃ。ここからどうするかを考えなきゃ。


「みっ、美波ちゃん!逃げよう!逃げて態勢を整えるんだ!」


「はっ、はいっ!!」


和田さんの呼びかけに反応して私たちは撤退する事にした。さっきまであんな感じだったのに咄嗟に状況判断できるなんて流石は大人だ。私は和田さんの事を少し見直した。

そんな感じで私たちと相手との距離はどんどん離れて行く。相手の話し声が後方から聞こえてくる以上は追っかけて来てはいない。まずは一旦逃げて戦況の立て直しを図らないと。幸い目の前の角を曲がれば相手バディの死角になる。曲がった先が直線だったとしてもこれだけ距離を空けてるんだからそう簡単には追いつかれない。何れは入り組んだ道か人混みに出る。そうすれば勝機はある。

そう考えながら角を曲がった時だったーー


「えっ!?どうして!?」


私の目の前には遥か後方にいたはずの相手バディがいる。私は自分の眼に映る光景が信じられなかった。私の心を恐怖が支配し始める。


「おかえり美波ちゃん!!キミいいねぇ!!すごく可愛いわ!!ワイの好みや!!」


男が私を舐め回すような目つきで見ている。その爬虫類のような眼がすごく気持ち悪い。私の目の前にいる男は今まで見てきた男の人の中でも別格と言っていいほど性的な思考が前面に出ている。性欲の塊といっても過言ではないぐらいだ。

それとは対照的にもう1人の男の人…すごく優しそうな人だな。全然性的な事を考えている気配を感じない。こんな人に会ったのは初めてだ。この人がバディだったら良かったのに…。ううん、ダメよ。今は戦いに集中しなきゃ!しっかりしなさい私!!


「だっ、駄目だ…何かのスキルなんだ…これじゃあ僕たちは…」


「諦めないで下さい和田さん!!戦いましょう!!勝機は必ずありますっ!!」


諦めない!きっと勝機はある!

私はラウムから剣を取り出し、爬虫類のような眼の男に向けて剣を構える。


「あー、美波ちゃん。そういうんはええよ。ワイ面倒なの嫌いやから。美波ちゃんは俺たちには勝てへんよ。悪い事は言わん。降参しとき。」


「戦ってもいないのにそんな事わからないじゃない!!」


「わかるで。ワイにはわかるんや。美波ちゃんらの持つスキルはレアが最高やろ?ハッタリやないで?わかるから言うとるんや。美波ちゃんがレア2枚にアンコモン1枚。オッさんがアンコモン3枚や。」


心臓が止まりそうだった。

何でわかるの…?

誰にも教えてないのに…

ハッタリ…?ううん、ハッタリでそんなに正確に当たるわけがない。

私の心が見透かされてるの…?負けるの…?

ダメ。落ち着いて。まだ決まってない。まだ勝機はある!心を強く保たないと!


「だから何!?レアリティで勝負が決まるわけではないわ!!」


「気ィ強いんやね美波ちゃん。ますます気に入ったわ。でもワイは早くシたいねん。だから教えたるわ。ワイの手持ちはSSが3枚や。どう足掻いても勝てへんで。」


SSって…そんな…どうやってそんな人に勝てば…


嫌だ…


奴隷は嫌だ…


「……っつ!!まだよ!!それでもまだーー」

「あ、そうそう。ワイのバディのあそこにおる優男の兄さんな、アレはアルティメットを持っとる。しかも2枚もや。」


「アルティ…メット…?」


「そうや。デタラメやないで。本当に持っとるんや。都市伝説みたいなスキルをあの男は2つも持っとるんや。」


それを聞いた時に私の中で何かが切れる音がした。体に力が入らなくなり、手に持っている剣を落とす音が一帯に響き渡る。私は膝から崩れ落ち、地べたに座り込んだ。


負けた


私は負けた


負けたんだ


それと同時に辺りが闇に包まれ始める。

完全な闇へと変わると闇の中からアイツが姿を現わす。



『さテ、リザルトを始めましょうカ。』


リザルトが粛々と進められているが私の頭には何も入って来ない。負けたらどうなるんだろう。本当に奴隷になるのかな。嫌だ。そんなの嫌だ。私は絶対に認めない。従う必要なんてない。


『そしテ、敗北バディが生存しておりますので勝利バディの方々には支配下プレイヤーを獲得する権利を得ましタ。ですのでーー』

「おっほー!!来た来た!!待ってました!!ワイはこれを待っとったんや!!んー、エエ匂いや!!処女の香りがするで!!堪らん!!楽しみやなぁ!!なー、美波ちゃん!!」


爬虫類のような眼の男がウキウキしながら小走りで私の元へと近づいてくる。


「…なんですか?」


「カカカカカ!!わかっとるやろ?これから自分がどんな目に合うか。美波ちゃんは今日からワイの性奴隷や!!」


「…なりません。こんなの認めるわけないじゃない。」


嫌だ。この男に触られるなんて絶対に嫌だ。


「カカカカカ!!いいねぇ美波ちゃん。まだ心が折れてへん。最高や。でもな、それはあかんねん。決まった事や。キミは奴隷にならなあかんねん。なぁツヴァイはん!」


『その通りデス。アイバミナミサマ。残念ですが貴女は敗北したのでス。支配下プレイヤーになる事は絶対デス。貴女に拒否権はナイ。申し訳ありませんガ、現実世界に戻る際に我々は支配下プレイヤーに堕ちた方々にある術式をかけまス。その術式は主人プレイヤーの命令に絶対従うというモノデス。脳で拒絶をしても身体は拒絶デキナイ。そういう術式をネ。カカカカカ!』


「そっ、そんな……」


「カカカカカ!!最高や!!最高やでツヴァイはん!!カカカカカ!!わかったか美波?お前はもうワイの性奴隷や。今日からたっぷりと調教したるからな。ワイのはキッツいでー?とりあえず今日は寝れると思うなよ?カカカカカ!!」


私の瞳から大粒の涙が溢れる。身体も震え、嗚咽を漏らしてしまう。


どうしてこうなってしまったんだろう


何で私はこんな危ないイベントに参加してしまったんだろう


本当に馬鹿だ



そして私に追い打ちをかける出来事が起こる


「まっ、待ってくれ!!私に提案があるんだ!!私は金なら持っている!!それを君たちに渡す!!だから私に酷い事はしないで欲しい!!それよりもこの女を我々で共有しないか!?3人で楽しんだ方がもっと面白いと思わないか!?」


「和田さん…どうしてそんな事を…?」


頭が回らない。この人は何を言ってるんだろう。悪い夢でも見ているのだろうか。悪い夢なら覚めて欲しい。


「黙れ!!お前は我々の性奴隷になるんだよ!!弁えろ!!グヒヒ!!」


「酷い…酷い…!」


悔しくて悔しくて堪らなかった。私は再び嗚咽を漏らす。それを見て和田の愉快そうに高笑いをする声が聞こえる。その後にまた何か揉めているけどもう知らない。

もういいや。これは罰なんだ。お父さんを殺してしまった罰なんだ。だから私は罪を償わないといけない。


「ほな、そろそろお開きにしよか。シンさんお疲れさん。ホンマ助かったで。またバディになったらそん時はよろしゅう!おら!行くぞ美波!!」


澤野が暴力的な態度で私の腕を掴もうとした時だった。

ツヴァイが私たちの間に割り込んで来た。


「…なんのつもりやツヴァイはん。」


『それは此方の台詞でス。』


「あ?何言うとんねんコラ!!お前ーー」

『サワノヒロユキサマには最初に支配下プレイヤーを選択する権利は御座いませン。』


「…はぁ?どういうこっちゃ?」


「バディイベントでの戦功により支配下プレイヤーを選ぶ順番が決まるのデス。戦功とハ、相手プレイヤーを倒すに直結したプレイヤーに与えられマス。アイバミナミサマとワダヨシオサマの戦意喪失の要因はタナベシンタロウサマのアルティメットレアによるものです。よっテ、支配下プレイヤーを選ぶ順番はタナベシンタロウサマが最初になりまス。」


「…チッ。そういえばそんなルールあったなぁ。ウッザ…!!」


少し状況が変わってきた。澤野に所有権があるわけではないらしい。私の所有権はあの優しそうな人にあるみたいだ。あの人なら私に優しくしてくれるかな?

私に希望が生まれてしまった。

卑しい、浅ましい願望が生まれてきた。


『さア、タナベシンタロウサマ。何方を御選びになられまスカ?』


「シンさん!!頼むわ!ここはワイに譲ってくれ!美波ちゃんめっちゃ欲しいねん!な!頼む!シンさんには別の女奢るから!な!えーやろ?」


澤野が田辺さんに私を譲ってくれと言っている。私は神様にそれだけは許して欲しいと願っていた。



だが神様は私の願いをもっと違う形で叶えてくれた



田辺さんが私元へと近づい来る。ポケットから何かを取り出して私に渡してきた。ハンカチだった。その行動の意味が理解できなくて、私は田辺さんの顔を見ている事しかできなかった。


「大丈夫だから。泣かないで。俺が君を救ってみせるよ。」


「えっ…?」


田辺さんは私の手を取り、ハンカチを握らせてツヴァイの元へと歩いて行く。

救ってくれるってどういう事なんだろう。頭が働かない。私の頭が働かなくても事態は動いて行く。


「ツヴァイ、この娘を奴隷から解放してやってくれないか?」


予想外の事だった。聞き間違いだと思った。私を解放してくれる?本当にそう言ったのだろうか?私の妄想ではないのだろうか?


「待て待て待て待て!何言うてんねやアンタ!?奴隷を解放するって正気か!?お前自分に酔うとるだけやろそれ!それがカッコええとか思っとるんやろ?無いって!!そんなん無い!!もっと欲望に忠実になりや!!確かにアンタはそのルックスや。さぞモテるやろ。でもな、性奴隷なんてなかなか作られへんで?そんなイイ女好きにできんねんで!?」


「自分に酔ってるか…。そうかもな。でも俺はこの娘を助けたい。強制的にそんな事はしたくない。」


「アホな事言ってんなや!!黙って美波渡せや!!ブチ殺すぞお前!!!」


「この娘は解放する。邪魔すんなら容赦はしねぇ。アルティメットの威力を試す良い機会だ。おら、来いよ。」


緊迫した空気が流れる。だが思いの外簡単に澤野は退いた。


「…お前覚えとれよ。」


本当に私は解放してもらえるのだろうか。それよりも何でこの人はそんな事をするんだろう。何も得なんてないじゃない。どうしてなんだろう。私は田辺慎太郎という人の行動が理解できないでいた。それと同時に解放されるかもしれないという卑しい希望を持っていた。


だけど世の中はそんなに甘くはなかった。期待した私を奈落に突き落とす言葉をツヴァイは田辺さんに言い放った。


『タナベシンタロウサマ、申し訳ありませんがそれは認められませン。支配下プレイヤーの解放というのは規則にはありませン。』


「そんなの関係ないだろ。権利を持つ俺が解放するって言ってるんだから問題無いはずだ。規則が無いってんなら作ればいい。」


『なりませン。規則は絶対デス。それを反故にするのでしたらそれ相応の代償を支払って頂きまス。』


「なんだよ代償って。」


『貴方の持つアルティメットレア《巻戻し》と交換という事でしたらアイバミナミサマを解放致しまショウ。』


そんな条件を飲むはずがない。アルティメットがどれだけ貴重なものか流石の私でも理解している。それを何の得も無いのに手放すはずがない。

それでも私は嬉しかった。こんな男の人もいるんだって知れてよかった。田辺さんに出会えてよかった。そう心から思っていた。


でも、彼は私の想像を遥かに超えた人だった。

彼は信じられない事を平気で言ってのける。


「カカカカカ!!そう来たか!!そんなん応じるアホおるわけないやーー」

「そんな事かよ。いいよ。じゃあ交渉成立だな。」


何でという言葉しか頭には浮かんで来ない。私はただ見ている事しかできなかった。


「お前ホンマに何考えてるんや!?アルティメットやぞ!?どれだけ貴重かわかってないやろ!?アルティメットも失って女も失うとかどっかおかしいんちゃうか!?」


『タナベシンタロウサマ。貴方は何も解っておりませン。アルティメットレアの貴重サ…いヤ、《巻戻し》の絶大さヲ。』


「それどんなスキルやねん。」


『参加しているイベントやシーンを初めまで戻す事ができるのでスヨ。要はやり直せるのでス。スキルレベルが上がれば戻す回数も増えル。そういうスキルでス。』


「なんやそれ…そんなん無敵やん…気に入らない結果ならリセットかませるって事やろ…アルティメットってそんなんなんか…」


『アルティメットレアは全て絶大ですガ、《巻戻し》はその中でも特別デス。タナベシンタロウサマ、考え直した方がよろしいかト。貴方が考えている以上のスキルでスヨ。今は解らなくても何れ解ル。必ず後悔しますヨ。』


「この娘を救う。この娘を救えない方が俺は絶対後悔する。救える力があるのに救わないなんて選択肢は俺には無い。だからこの娘を解放してくれ。」


その言葉を聞いた時、私の眼から暖かい涙が零れ落ちた。

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