第10話 自分の頭で考える?

 前回の陰謀論とかニセ科学で、よく話題に出るのが「自分の頭で考えないからだ」という意見です。

 が、これには注意が必要です。


 既に書いたように、人間は「過ちを犯す」生き物だからです。


 私が世の中の全てを知り尽した天才なら、「自分の頭で考える」ことで、必ず正解に至るでしょう。しかし、そんな人はどこにもいません。

 すると、どうなるか。

 一番ありがちなのは、「手っ取り早い答えに飛びつく」という行動です。

 陰謀論とかニセ科学ってのは、まさにそれ。


 では、どうしたらいいのか。

 それこそ手っ取り早く言うと、「専門家の知見に頼るべき」なんです。


 が、それでも問題があって、世の中には偽の専門家が溢れかえってるんですよね。呆れるほどに。

 だから、「本物かどうか」を見分ける必要があって、それこそ「自分の頭で」判断するしかありません。言い換えると、そうした判断力こそが「リテラシー」なんですね。


 で、そのリテラシーですが。

 まず、通説を覆すような主張をする人は要注意。「ワクチンは害の方が大きい」なんてのがそれですね。事実だったら、それこそ専門家が黙ってません。

 これだけで、八割程度の偽物は除外できます。


 もっとも、誤解が通説になってしまってる場合もあるので、話は厄介なんですが。こっちは別の機会にでも。


 次に、その人の実績を確認しましょう。

 ネットのおかげで、ちょっとググれば学歴や経歴がある程度わかります。何も出てこなければ、かなりマイナーな人か、「わけあり」な人です。

 どっちにしろ、教えを乞う相手ではないですね。


 最後に、「専門性」を確認します。

 先ほどのワクチンなら、医学に関わる人であるはず。臨床医か研究者かも重要。

 専門家は、専門分野以外では、一般人と同程度の知識しかありません。ワクチンならば、内科医や小児科の先生は詳しいでしょうけど、歯科医や眼科医の先生はそれほどでもないでしょう。

 だから、専門外のことについてあれこれ発言している人は、やはり要注意です。


 でも、専門家の話は分かりにくい。正確であろうとするから、どうしてもくどくなりがちです。

 なので、本来はテレビや新聞などのメディアが、正しい専門家から話を聞いて、一般人向けにかみ砕いて伝えるべきなんですが。

 どうも、センセーショナルな話題を追いかけて、デマを拡散してしまうケースが目立ってしまいます。

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