新しき世界への叙事詩

神話を髣髴とさせるような煌めきと芳醇な文章。
地の文をじっくりと味わいながら読みたい方、重厚な世界を旅したい方におすすめです。
読書中、まるで物語の舞台となる大樹サーディアナールの常緑の木々の葉に囲まれているような錯覚に陥ります。

文化の相違や価値観の相違を抱えながら、差別を超えようと葛藤する人物たち。
一体自分に何が出来るのかと問いながら愛しい者のために行動する姿に好感が持てます。

子守唄や伝説の意味が物語の終盤において種明かしされる時、読者もまた子守唄とタイトルのその意味を知ります。同時に目の前が突然切り開かれたような大きな世界を想像するのです。

古き殻を破り、新しき場所へ旅立つ者の、愛情と未来に満ちた物語です。