医学論

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

病理学篇

肝臓Ⅰ

A.肝臓の構造と機能

1.性状と構造の機能

 ・成人の肝臓;平均1200g(体重の1/45~1/50)


 機能:

 ・免疫グロブリン以外の血清蛋白質合成

 ・血清リポ蛋白質合成

 ・胆汁合成と分泌

 ・老化赤血球の破壊とその構成成分(ヘム)の再利用

 ・有毒物質や中間代謝産物の解毒


 ・生合成の多くは門脈から運ばれてくる消化産物を利用


 胆汁;胆は1日に約700㎖の胆汁を分泌

 ・胆汁酸は脂肪の吸収に不可欠

 ・ビリルビンは老化赤血球のヘモグロビンに由来



B.肝臓の細胞障害と再生

1.萎縮

【A.褐色萎縮brown atrophy】

 ・結核、悪性腫瘍などの消耗性疾患のとき、肝全体が萎縮し褐色調を呈する。

 ・組織学的には、肝細胞の萎縮、細胞質に褐色の消耗色素(リポフスチン)沈   着。


3.肝の再生

 ・軽度の場合:障害を受けていない肝細胞が分裂・増殖する。

 ・高度の場合:門脈周辺の肝幹細胞が増殖する。



C.肝臓の代謝障害

1.肝質代謝障害

【A.脂肪化(脂肪変性) fatty change】

 ・肝は様々な原因により、種々の程度の脂肪化(脂肪変性)を来たす。


 ・肝全体:脂肪肝


 ・アルコール多飲や高度肥満のときには肝全体にびまん性にみられ、脂肪肝と呼  ばれる。


2.胆汁色素代謝障害

【A.黄疸icterus】

 ・血中ビリルビン濃度が上昇し、皮膚や強膜など各組織が黄染された状態を黄疸  と云う。


 ・肝前性:溶血性貧血などによる非抱合型(間接)ビリルビンの過剰産生

 ・感性:各種の肝炎、菌物等の肝細胞障害による抱合型(直接)ビリルビンの排     泄障害

 ・肝後性:結石、炎症、癌などによる肝外胆管閉塞


【B.胆汁うっ滞cholestasis】

 ・→ 血中に胆汁成分(ビリルビン、胆汁酸)やコレステロールが増加する病態 →   黄疸


 ・薬物やA型肝炎などのウイルス性肝炎が原因の大半。

 ・拡張した毛細胞管内に胆汁栓がみられる。


6.鉄代謝障害

【A.ヘモジデローシスhemosiderosis】

 ・頻回の大量輸血、何らかの原因により血鉄素(ヘモジデリン)がクッパ―細胞  に沈着。


【B.ヘモクロマトーシスhemochromatosis】

 ・遺伝性鉄代謝障害により肝臓・肝細胞に大量のヘモジデリン沈着。

 ・肝機能障害、肝硬変をきたす。


7.銅代謝障害

【A.ウィルソン病Wilson disease】

 ・常染色体劣性遺伝。

 ・セルロプラスミン(銅結合蛋白質)の産生低下により、銅の血中への分泌も低  下。

 ・肝臓、大脳基底核、角膜に銅が沈着する。


8.アミロイドーシス

 ・アミロイドと呼ばれる特殊な線維性蛋白質が種々の臓器の細胞外に沈着する疾  患群。

 ・アミロイドはコンゴ赤色で橙色に染色され、偏光顕微鏡で緑色偏光を示す。

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