転生者が多すぎて異世界に転生できなかった俺は、他人の転生を阻止することにした

最上へきさ

プロローグ

0:俺も無事トラックに轢かれました

 俺の名前は海良寺清実かいらじ きよみ、十七歳。

 今、まさに死んだところだ。


 皆まで言うな。分かってる。どこにでもある話だ。


 確かに、俺はトラックに轢かれた。

 ボールを追いかけて道路に飛び出した子供を助けようとして。


 もちろん死ぬつもりはなかった。俺はそこまでお人好しじゃない。

 子供を突き飛ばしたついでに、自分も走って、それでどうにか逃げられるはずだった。


 なのに、誰かが俺をもう一度突き飛ばしたのだ。

 中央分離帯を越えて反対側の車線に飛び出した俺は、逆方向のトラックに轢かれて死んだ。


 幸か不幸か、痛みを感じる暇はなかった。

 死体は相当エグいことになっているだろうけど、それも見ないで済んだ。


 そして予想通り、女神に出会った。

 すんごい美人でおっぱいが大きい女神。

 冴えないフツーの高校生だった俺にチートな能力を授けて、うまいこと転生させてくれるって。


 そこまでは俺の希望通りだったんだ。

 ……そこまでは。

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