オマケ小劇場「忍●のナットゥと維新を目指せニンジツで〈前編〉」

(これまでのあらすじ)ここはミリオポリス、マッポー・シティ。ロケット燃料めいたテロリストとスキンヘッドがボンオドリ・ダンスを踊るこの都市に、ストレイドッグな遠吠えと共に正義の変身ヒーロー・ガールが見参。それが我らがMPB遊撃小隊〈ケルベルス〉なのだ!




「な~んか、ニンジツとか使いてぇ……」


 涼月スズツキ――鉄とコンクリートをアミダした工芸品めいたビルの屋上。光化学スモッグと人垣が〝見たまえ、まるでゴミのようだ〟した街並みを眺めながら、煙管キセルの煙と共に切なく吐息。

 キセルの柄に刻印=『A.S.A.P.さっさとらやんかいボケェ』。


 なんか今にも天からブッダめいたアルカイック・スマイルを浮かべた神様が降りてきて、〝全人類をゴクラクジョードに送っちゃうよカラテ、サヨナラ!〟とか撃ってくれそう。


 シュカッ――そこに通信=副長の矢文。


 開封=《ギンコ・ゴートーに動きがあった。サラリマンに偽装した犯罪者たちが大通りを牛車で驀進。至急、迎撃せよ。〈ケルベルス〉、全頭出撃ハッケヨイ・ノコッタ!》


 涼月=キセルをぷっと吐き出し、獰猛な笑み。「聞いたか。陽炎カゲロウ夕霧ユウギリ戦の時間イクサ・ツァイトだ!」


 大通りを暴走する完全防弾された牛車――その荷台でサラリマン変装グッズであるシチサンメガネ+トレンチコートを脱ぎ捨てた一団=プリンチップ・ニンジャズの末端モブ、クローン・オットー軍団。


「フラーッ!」「オレハドーテージャネー!」


 なんかもうどうしようもない雄叫び――その前に突如、黒髪シュヴァルツの少女が到来。「転送を開封」


 おお、ゴウランガ! 少女の手足が一秒余で置換――遠吠えイヤーッめいた音を発して、ニンジャソウルが憑依した特殊義肢〈特甲トッコー〉を身にまとったイクサ装束に変貌。


「イヤァァァ――ッ!」両腕のテコーに内蔵された雷撃・ジツが唸りをあげる。牛車のアカベコめいた顔面にヒット――なんと、暴走牛車が軽々と宙に殴り飛ばされたではないか! ヤキニクテーショック!


「ドーモ、テロリスト=サン。MPB遊撃小隊〈ケルベルス〉です。さあ、ギュウドゥンになりたい奴は前にでな!」


 涼月=その体を覆う黒いトッコーイクサ装束/ショーツに文字=『チャドーせよ!』/以下略。


「……おい、随分とテキトーじゃねーか?」


 半眼=作者への抗議――だが、我々は知っている。実際その胸は貧乳であった……ぐおうはぁっ!? 「うるせーっ! あたしの胸はこれからだ!」



 数軒離れた通り――ギンコのキャシュ・ディスペンサ前に規則正しく整列するクローン・オットーたち=あいや悲しき、よく訓練された社畜の習性かな。もののあはれなりけり。


「アイエエッ!? 社畜、社畜ナンデ?」ヤーパニッシュ社会の闇を前に恐慌する人質たち/その時――


「グワーッ」突如クローン・オットーの一体が爆発四散!


「グワーッ」「グワーッ」「グワーッ」次々飛来するケースレス弾=ナゴヤウチ。


 ギンコから数里離れたビルの屋上――右腕と一体化した長大なイクサ吹き矢ライフルを構えた少女=陽炎カゲロウ


「アイン、ツバイ、ドライ」その豊満な肢体を覆う真紅のトッコーイクサ装束/赤いショーツに文字=『バンザイ!』。


 陽炎の操る特大のイクサ吹き矢から放たれた特大のケースレス弾が、タクミジョブのごとく正確無比にクローン・オットーの眉間を撃ち抜く。


「グワーッ」/撃ち抜く/「グワーッ」/撃ち抜く/「グワーッ」――誰が呼んだか魔弾の射手フライシュッツの陽炎=その胸も特大であった。



 ギンコ前の大通り――慌てふためくクローン・オットーたちのど真ん中に、上空からどーん! と少女が着弾。「ドーモ、犯罪者=サン。夕霧は歌いますよー♪」


 夕霧ユウギリ=白銀のトッコーイクサ装束/ショーツに文字=『ワッショイ!』。

 両手に必殺仕事人めいたワイヤー×五×二/両腰に特大の和傘――歌って踊れる大道芸人こと、暴れん坊少女=悪ふざけオイレンシュピーゲルの夕霧。


「みなさん、ハイクの準備はいいですか~?」


 クローン・オットー集団=少女の問いかけを無視――一斉に種子島マシンガンを構える。


「む~……」考える夕霧の頭で、豆電球が点灯ピッカーン。「夕霧は思いつきましたよー♪ 名付けて、ハイク・ソ~ング♪」そして始まる夕霧ソング・オンステージ。


「ギオンショージャのベルの音♪ ショジョームギョーの夢の跡~♪ おもしろき/こともなき世を/おもしろくすれば、みんなハッピー♪」


 ハイクと共に繰り広げられるワイヤーの乱舞――オットーたちがたちまちトコロテンめいたサイコロスクラップに。「みなさん、ご静聴ありがとうですダンケ・シェーン♪」


《いい歌だね、夕霧。ちなみに五七五で季語があるのが俳句ハイク、ないのが川柳センリュー、五七五七七が短歌タンカだよ》機械的にオットー射的インベーダゲームを実行しつつ、応える陽炎。


《タンカですかー?  でもこの人たちには、もう担架タンカは必要なさそうですよー?》と夕霧。


《煮ても焼いても食えなそうだしな。ほっときゃ畜産業者が回収すんだろ》と涼月。


《あらー、働き屋さんですねー》


《確かにシャチクといえばサラリマン、サラリマンといえばシャチクだからな》



「世の中シャチクだらけじゃ、そりゃ畜産業者も儲かんだろーな」涼月=ふと首を傾げる。「ところで、今回の敵ってこれで終わりか? ザコだけで読者は満足すんのかよ?」


 陽炎=呆れ。《お前はナチュラルにメタ発言をするな……》


 シュカッ――そこに通信=副長の矢文。「たくっ、いちいち面倒くせーな」


 渋々開封――《気を抜くな/増援がくるぞ/気をつけろ》=五七五、字余り。


「マジかよ……」呟くと同時に地響き――アスファルトをかち割り、地中から巨大な影が姿を現す。


「くそっ。陽炎、夕霧! もうひと仕事やるぞ――」涼月=目が真ん丸に。「なんっっっだこりゃ――――っ!?」


 突如、地中より現れたセルビアンめいた巨大なブッタイ――ギョロリとした目玉/ヒレの付いた四本脚/でっぷりした胴体部/口からちょろちょろ飛び出す長い舌――


 涼月。「……カエルフロッシェか?」


 陽炎+夕霧。「カエルだな」「カエルさんですね」


 おお、エクスプロード! なんと、涼月たちの前に姿を現したのは、戦車よりも巨大な鋼鉄の化け物カエル……! ナムサン!


 シュカッ=またも矢文。《カエル型犠脳体ニンジャ、〈ド・コンジョーの鳥蛙バジリスク〉だ。潰されてもどっこい生きてる厄介な兵器だ。気をつけろ》


 シュカッ=さらに矢文。《知っての通り、バジリスクといえば中世に第一区のブルートガッセ通りにある井戸に出現したヒキガエルと雄鶏を悪魔合体させたような醜い怪物を、パン屋が〈鏡〉を使い退治したことはウィーンっ子なら誰でも知っている常識だ。

 だが、今回の敵は実のところそのようなウィーンの伝承とは

 ヤツはその触手めいた舌で捕えた獲物に、全年齢向けではとても表現できない凌辱エロドージンをしてくるぞ。気をつけろ》


「なんだよ、そのはた迷惑なカエルは! つーか、最初の説明いらねーだろ? ただの文字数稼ぎしてんじゃねーぞっ!」


 怒れる涼月――《ゲロゲーロ》その背後で、化け物カエルが動き出す。


「陽炎、夕霧!?」


 おお、なんということか!――そのピンクの卑猥な触手めいた舌に、瞬く間に仲間たちは捕らえられてしまったのだ!


「わー、捕まっちゃいましたー」「ふむ、これは困った」


 あえなく捕虜めいた餌食と化してしまった陽炎+夕霧。


「くっ……おい、大丈夫かっ!? この……二人を離しやがれカエル野郎ぉ!」


 涼月=雷撃最大でカエルの腹にパンチ。

 ――なんと波紋めいた不可思議な敵の装甲に弾かれる=雷撃が無効化。


「……マジかよ」


 涼月の焦燥――その間にも、化け物カエルの背中が着ぐるみのジッパーを降ろすように展開/猛然と吹き出される謎の粘状ブッタイが陽炎+夕霧を襲う!


「ほえ? これなんですかー?」


「これは……ミト原産のバイオ・ナットゥだ!」


 涼月=激怒。「くだらないタイトル回収してんじゃねぇ!」


 これは……何が起こったのか!

 我々の目の前で、ミト特産のバイオ・ナットゥをその身に受けた二人のイクサ装束が、みるみるうちに溶けていくではないか!  ワッショイ!


「あたしの仲間に変な真似すんなっ!」


 涼月のパンチが作者に炸裂!――哀れ、血まみれに。


 だが/しかし――聞こえる!

 賢明なる読者諸君の魂の叫びソウルシャウト=〝がんばれ、カエルがんばれ〟。


 よっしゃ、分かったぜ野郎ども!(by作者)――涼月の機転も虚しく、水を得たフッシュのように俄然やる気になった作者と化け物カエルが、なんかもう大変ヤバイ具合に。


「まずいぞ……このままではこの作品が本当に十八禁になってしまう」


 ナットゥまみれになった陽炎=半裸/なまめく肢体/やはりその胸は豊満であった――実際、ヤバイ。


「あーれー、夕霧隊員はァ、エロドージンみたいになっちゃうんですかァー?」


 同じくナットゥまみれの夕霧=ぷっくりした可愛いらしい胸が、今にも零れ落ちそう――ヒャッホウ!(歓喜)


「うるせーよ! ……あーもーどうすんだ。あたしじゃどうしようもねーぞ、これ」キセルを取り出す涼月=ふて腐れ。


「そういうお前もやる気がなさそうだが?」


「知るかよ。――大体、なんでコイツあたしには襲いかかってこねーんだ?」


 陽炎=投げやり。「知らん。きっと貧乳には用がないんだろう」


 涼月=マジギレ。「お前はあたしに助けて欲しいのか、ケンカ売ってんのか、どっちなんだよっ!」


 陽炎=真面目に。「しかし、どうやら本当にマズイ。このままではミハエル中隊長をハートキャッチする前に、お嫁にいけない体にされてしまう」


 呆れる涼月。「……今更かよ?」


「流石の私も触手モノは守備範囲外だ。なんとかしてくれ、少隊長」哀切なる救援コール。


 涼月の思案。「――あたしにどーしろってんだ。空でも飛んで助けろってのか?」


「それだ! 知っているか? 公安オンミツの特甲児童は飛べるらしいぞ?」


「……露骨に話進めやがったな。大体、オンミツが他にいるならあたしらは何なんだ――」


 その時――上空より何かが飛来=三つの輝き。「……きた! !」


 ゴウランガ!  我々はこの輝きを知っている!  紫・青・黄――オニビめいた三つの光――妖精スプライトたちの輝きを!


 紫の輝き=アゲハ。「ご奉仕いたしますわーっ!」


 青+黄の輝き=ツバメヒビナ「ハイ、ヨロコンデー」


「ここからは、あたくしたちの出番ですわ!」


 誇るように胸を反らす鳳の宣言――実際その胸は豊満であった……!  ハレルヤ!




     (待て、後編!)

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