「マグネット!」の書評を分析するよ第三回!

【分析対象】


マグネット書評ver.1.0

「マグネット!」という小説投稿サイトの書評、100件です。



【どのような分析を行ったのか?】


今回の分析にあたり、書評を前半と後半に分けて分析できるように、

収集した書評のデータをあらかじめ加工しておきました。


そして200字以上の長文レビューでは、

前半部分と後半部分とで出てくる言葉に違いがあるのか調査しました。



【前回までのおさらい】


前半と後半、それぞれの特徴語についてもう一度おさらいします。


前半の特徴語は、

「主人公」「世界」

です。



対して後半の特徴語は、

「物語」「作品」

「登場」「キャラクター」「人物」

でした。


このことから、前半は主人公や世界観などの説明をしていて、

後半では作品全体の印象を語っていることが推測されます。



前回は、


A「前半で、前半の頻出語が出ている」

B「後半で、後半の頻出語が出ている」


という条件付けで書評を分類分けしました。


そして前回までに、

AB両方を満たす書評、ABどちらかを満たす書評について考察しました。



【今回の分析でなにをするのか?】


今回の分析では、

残りの「ABどちらも満たさない書評」を見ていきます。


なおこれに該当する書評は22件ありました。



【AB両方満たさない書評の場合】


まず一つ目の特徴として、

短文レビューのためにそれらの語が登場しなかった、

ということが挙げられます。


22件のうち、450文字未満の書評は14件ありました。

特に200~350文字のレビューで、特徴語が出てこないケースが多く見られました。


200~350字のレビューは全体で17件ありましたが、

そのうち約半数の9件が、AB両方満たさない書評でした。



短文レビューだと「主人公」や「物語」などの特徴語が出ない傾向にある。

このことを補強するデータが見つかりましたので、

一旦そのことに話を移したいと思います。



上記の「ABどちらも満たさない書評」の22件の書評は、2つのパターンに分けることが可能です。


1つ目のパターンは、いわば、前回まで見てきた書評の変形パターンです。

「前半の頻出語が、書評の後半に出る」

「後半の頻出語が、書評の前半に出る」

といった書評です。

言い換えれば、頻出語自体は書評の中に登場している、というパターンです。


そして、もう1つのパターンは、

そもそも頻出語がレビューの前半にも後半にも一切出てこない、

というものです。

書評のどこにも「主人公」とか「物語」とか出てこない、ということです。


そしてこの、そもそも頻出語が一切出てこないパターンの書評は、

全11件中8件が、350文字未満でした。



つまりごくごく単純に、

文章量が少ない=特定の単語が登場するチャンスが少ない、

ということなのだと考えられます。



【特定の単語が登場しないことについて、補足】


実際には「主人公」や「世界」、「物語」といった語を使わずに、

それらについて語っているレビューも存在します。


主人公について触れているレビューでは、それが顕著に見られます。


主人公について語る時、「主人公」という語を使うこともあれば、

「主人公」という語は使わずに、主人公の名前を出して紹介することもあるでしょう。


「中学二年生の田中は~~」


と書けば「主人公」という語を使わずに主人公について語れます。

こういうレビューの場合、私の分析方法では、主人公について語っているとコンピューターが認識しません。

「主人公」という語が出ていないためです。


長文レビューであれば、長々と書くうちに「主人公」という語が出てくることも考えられますが、

短文であればその機会がなく主人公の話題が終わりやすいのです。


同じように、

ラブロマンスなどと書くことで、「物語」や「ストーリー」という語を用いずに物語について触れるレビューもありました。



【短文レビューはどう書けばいいのか?の仮説】


ここからは、データから得た情報ではなく、

それを基にして私が考えた仮説を書いていきます。


短くまとまったレビューを書けるようになると、


・短く書ける=時短で負担が少ない

・短くてもまとまっている=書いた本人の満足感につながる


というメリットがあります。



そして短文レビューを上手に書くコツは、


・話題を絞る

・具体的な語を出す


なのではないか、と私は仮説を立てました。



書評の文章量については、

「どうして短文になったのか?」

「どうして長文になったのか?」

ということを考えると、より深い分析につながります。


レビューが短文になった理由には、

「レビューの書き方がわからないので長く書けない」

「上手くレビューをまとめた結果、短文になった」

といったことが想像できます。


意図したかしないかはともかく、

書いてみたら綺麗にまとまって、結果的に短文になった、

という書評・レビューは多く存在するように見えました。



さて文章量の少ないレビューでは、

「主人公」や「物語」などの特徴語があまり登場しなかったと書きました。


その理由として、

「短いから登場する(話題にする)機会がなかった」

「別の語を使って表現していた」

ということが考えられるというのも、前述のとおりです。


この2つの理由は裏返せば、

「話題を絞った」

「具体的な語を出した」

とも言えます。


主人公のキャラが一番の魅力の小説だから、主人公についてだけ書こう。

ラブロマンスとはっきり言うことで、印象を伝わりやすくしよう。


そんな工夫によって、上手くまとめられていたのではないかと私は考えました。

また、これらの工夫をした場合、文章量が短くなるのは仕方ないことだとも言えるでしょう。

どうしても長いレビューを書かなきゃと強迫観念のある方は、

書き方が上手いとどうしても短くなってしまうのだと考えれば、多少は自分を許せるのではないかと思います。



なお文章量の少ないレビューにおいては、

「物語」と「世界(世界観)」という語が頻出語の中では用いられる傾向にあるようでした。


これらの言葉は、具体的な言い換えが難しい場面があるというか、

文章の流れ上、使うのが妥当な場面が度々あるのでしょう。

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