かくことが生きた証になる

3ー9まで読んで

読者選考にこういった作品を投じる書き手にどんな算段があるのか、是非とも聴いてみたい。とてつもなく不利に思えるから。

小説が書き手の精神世界を表現したものなら生と死を引き換えにこの世に送りだされたような気がする。

冒頭わずか数行で見事に読者を引き込む力、ムーウのストレートに吐き出される内面描写、ない答えを問いつづける絶望にも似た叫びが粉々に砕け散ってる。
この圧倒的な文体はどこから来るのか。
思わず手を握りしめる、これでもかとジリジリと迫り、読者の領域も軽々と試す。
いったい何に手を出してしまったんだという焦燥感。

魔法があたりまえの世界で「あえて魔法を使わない」この一風変わった設定は、魔法を文明に置き換えてるようにも受け取れた。
便利なものには代償を払うようにできてる。

進むにつれ一抹の不安は結末が予測不可能で完結が可能なのかということ。
危ういままにどちらに転んでも恨みっこなしなのか、傷つく毎に透明感を増す世界観に置き去りにされないように完結を確認せずにはいられない。

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