俺、お昼ご飯を食べる。

映画はとても面白かった。

漫画の実写化らしいし、恋愛ドラマもあまり好きではないので期待していなかったのだが、王道をしっかり押さえていて「ああ、いいな。」って思った。

俺もあんな彼女が欲しい。


自分の行動もほぼ満点だったと思う。

ただ桜ちゃんのテンションが下がった気がするのが気になる。

映画の感想も楽しそうに言うのに、時折何かを考えこむような仕草をする。

俺にはよくわからないが、桜ちゃんが楽しいと思えるようもっと頑張ろう。


◇◇◇◇◇


お昼ご飯を食べようということで連れてこられたのは割とリーズナブルなレストランだった。

肩が凝るようなところじゃなくて良かったが、桜ちゃんはもっとおしゃれなところに行くかと思ってた。

正直意外だ。

俺に合わせてくれたならありがたいけど。


「先輩は注文決まりました?」


「うん。」


「じゃあボタン押しますね。」


ポチッ ピンポン


そこまで待たずに店員さんが来た。

たまに押しても一向に来ない時があるよね、あれ。


「カルボナーラを1つ、先輩は?」


「お、俺はペペロンチーノで。」


「かしこまりました。少々お待ちください。」


店員さんは去って行った。


ほとんど間を空けずに桜ちゃんが話しかけてきた。


「先輩、改めてあの時は助けていただいてありがとうございました。」


「えーと、どういたしまして。」


改めて言われると照れくさい。


「ところで先輩、辛いのがお好きなんですか?」


「いや、特段好きなわけではないけど………」


「そうですか。………『先輩は辛いのは嫌いではない』と………」


どこからかメモ帳と筆記用具を書き込んでいる。

小言だが丸聞こえだし。


「そんなこと書いてどうするの?」


「へっ!?………いやっ、これは、その、ですね………」


なにやら顔を赤くして手をぱたぱたと振る桜ちゃん。

なんだか小動物っぽくて可愛いけど、なぜ顔が赤いのか。

………あ、そっか。言い方が気に障ったのか。


「ごめんね、言い方きつかった。」


「………?いえ、気にしてませんけど………」


あれ?きょとんとされた。

結局何だったのか………


「そ、その、私、いろんな人の趣味とか好みとかのデータをとってて………よろしければ、協力していただけませんか!?」


「う、うん。俺でよければ。」


「ありがとうございます!」


結局、質問攻めにあった以外には何事もなくランチタイムは終わった。

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