第10話 フレンド

ようは、美生みおたちとすっかり馴染んだ。


陽がランブレッタやアペでバイクのイベントに行くと、男性がわらわらと集まって来る。それを陽は適当にあしらっている。しつこい人は美生や有希ゆきが追い払う。


バイク雑誌の編集者に声をかけられて、ランブレッタの後ろで4人で並んでピースをしている写真が掲載されたこともあった。


学内では、有希と一緒にいることが多い。有希の人の良さそうな暖かい雰囲気と陽の華やかな雰囲気は不思議と調和していた。


有希の友人達は、今まで近寄り難かった陽の側に集まっている。陽もまんざらでもない様子で相手をしている。


休みの日には有希にマンションに来てもらって、有希が作った料理を嬉しそうに食べているらしい。


時折、同じマンションのけいの部屋にふらりとやってきて、佳の入れたカフェラテを飲みながら、とりとめのない話をして帰って行く。ただでカフェラテを飲んでいるのは悪いと思っているのか、スーパーで買ったらしい林檎やオレンジを持ってくるのが、憎めないと佳は言っていた。


そして、美生に会うと、次はどこにツーリングに行こうか?とにこやかに言ってくる。その笑顔が眩しい程、美しい。


バイク屋に入り浸って、今はアペをパワーアップしてもう少しスピードが出せるよう改造する相談をしている。店主も美人に頼られて嬉しそうだ。


陽はランブレッタやアペだけでなく、友達も手に入れた。


陽がそれらを手放すことは決してないだろう。




(クッチョロ!!3 完)

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