もし異世界の美少女店長が経済学の教科書を読んだら

 大学生の黒羽夜一は、異世界へ迷い込んだ先でハーフエルフの美少女セルシアと出会う。彼女が営むよろず屋「ジャンク・ブティコ」は在庫を抱えて廃業寸前。たまたま鞄に入っていた経済学の教科書を頼りに経営の立て直しにとりかかる。小さな店の経営をきっかけに異世界に経済革命を巻き起こしていく展開にワクワクします。

 品数を減らしたのに売上アップ? クーリングオフで商品が返品されるのに満足度向上? 簡単なPOPのほうが客の心を掴む?

 いわれてみればコンビニやドラッグストアの売り場でよくみかける、一見、不利益とも思えるのに何故か売上げとリピーターが増えるビジネスの法則が興味深い。

 現代のコンビニをモデルに生まれ変わった「ジャンク・ブティコ」は、次々とヒット商品を開発して、新店舗を増やし事業を拡大していくのだけれど、労働基準法がないのをいいことに従業員をこき使うブラック企業まっしぐら!

 国を巻き込んで金儲けに暴走する夜一やセルシアだけれど、気づいたら社会を良い方向へ発展させたり、人類と魔族の対立を解決したりして社会に貢献しているから守銭奴なのも善し悪しか(?)

 調子に乗ってつまずいてしまうこともあるけれど、転んでもただでは起きない二人のドタバタが可笑しいビジネスファンタジーです。

(「一攫千金」4選/文=愛咲優詩)

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