飲み干す

 どうやら僕は屋上で倒れていたらしい。


 目が覚めてから事情聴取された。それに僕は何も答えなかった。答える気にもなれないし、彼女の秘密のようなものを他の人に伝える気にもなれなかった。


 それを察したのか、事情聴取はすぐに終わった。


 僕はクラスに戻る。彼女が好きだったクラスに。


 そこには、涙を流す友達、自分には関係ないと思ってる友達、色々な人間がいた。


 クラスの扉を開けるとそこにはC男が待っていた。


「なんで、お前は彼女を止めなかったんだ」


 それに僕は沈黙する。


「おい、なんか答えろよ、彼女は、彼女は未来があったんだよ」


 C男は言うが僕は答えない。


「お前が殺したくせに」


 そう言って、僕に何を言っても無駄だと思ったのか、戻っていった。


 その後、担任に呼ばれた。内容は彼女の家に行ってほしいというものだった。


 住所をもらって僕は彼女の家に行った。


 そこでお線香をあげさせてもらってから、彼女のお母さんから手紙を貰った。


 何かあったら僕に渡して欲しいと言われていたものだ。


『僕君へ


 これが渡ってるってことはもう私は死んだのかな?色々ありがとね。


 今思うと僕君には迷惑かけたなぁ。だって、僕君のサボりを邪魔に邪魔したからね!でも、後悔はしてないよ。だって人生で一番有意義な時間だったから。


 付き合ってるかもって噂が出たときは焦ったよ。今の関係が崩れるんじゃなかって。


 あとね、私は僕君を利用してないつもりでいたけど利用してたみたい。謝んないとね。ゴメン。


 あっ、実は炭酸水はあの泡の一瞬が好きで飲んでるんだ!まぁ、ダイエットのためもあるけど。そのまま私の言ったこと鵜呑みにしてたみたいだから。


 だから、私が死んだことも気にやまないで。


 そろそろ、時間が来たみたいだから最後に


 私は僕君のことが好きです。


 私より』


 これを読んで僕は涙が止まらなくなった。どれだけ拭っても止まることはなかった。


 僕はサボりの邪魔なんかされてない、それゃ最初は邪魔だったけど。だんだん君との時間が好きになっていたんだ。


 僕は君にだったらどんなことでも利用されたっていい。謝んなくていいから。


 僕だって君のことが好きだよ。


 もう戻らない君のことが大好きだよ。


 僕は彼女のお母さんがいる前で叫んだ、泣いた、哭いた、後悔した、懺悔した、そして、思った。


 君のことが心の底から大好きだ。


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