ファンタジーものでは新鮮な人間ドラマ

 本編を読む以前にワールドガイドの方を拝見し、世界観に惹かれて読み始めました。
 舞台となる世界そのものから、その世界にある国、そしてその国の中の一つの学校……と、マクロな部分からミクロな点まで書かれていますが、中でも驚いたのは国の設定です。
 歴史に始まり地理や他国との関係、政治経済に加えて交通事情まで書かれています。これらの情報が、本来存在しない”魔術師たちの国”に、現実感を与えてくれました。
 物語は戦争が終わった時点から始まっていますが、上述の詳細な設定の数々は、「戦争中の出来事を描いた戦記物として読んでみたい!」と若干の惜しいという気持ちすら感じさせてくれます。というか私が読みたいです。

 本編は登場人物たち――中でも主人公である、兵士・フレイセルに焦点を当てた人間模様と、その葛藤が丁寧に描かれます。
 世界観に根差したメインテーマ……世界の存亡や国々の戦乱でなく、あくまでキャラクターの葛藤そのものをメインテーマに据えたいという作者の気持ちは、キャッチコピーのフレイセルの台詞からも伝わって来ました。

 とはいえ現在公開されている3話まで、人々の暮らしやキャラクター、人間関係の説明を行う土台の部分――つまるところ「起」に当たるもののようです。
 特に3話の引きが「ここから物語を動かすぞ!」という作者の気持ちが感じられるものでしたので、続く4話の展開を楽しみにしています。
 
魔術兵装なる素敵な言葉も出てきているので戦闘部分……期待してもいいのでしょうか!楽しみにしてます!!!!