022――リズと青い鳥(アニメ映画)

あらすじ

 高校三年生の鎧塚みぞれは同級生の傘木希美と過ごす時間を大切にしていた。

 彼女にとって世界とはひとりぼっちだった自分に始めて声をかけてくれた希美そのものだった。だがみぞれは一度は吹奏楽部を退部した希美が再びどこかに行ってしまうのではないかという不安を常に抱え、高校最後のコンクールへ準備をしていた。

 コンクールが近づく中で練習を重ねる二人。でも近くて遠いアンバランスな関係にも変化が訪れる。




概要

 『響け!ユーフォニアム』のスピンオフとして制作され、高校の吹奏楽部に所属する二人を主人公に、卒業前の「高校最後のコンクール」への青春模様を描く長編アニメーション映画。


 原作は『響け! ユーフォニアム』の武田綾乃。

 監督は『映画けいおん!』『たまこラブストーリー』『映画 聲の形』などを手がけ受賞歴もある山田尚子。脚本は吉田玲子。

 アニメーション制作は日本のオタクで知らない人はいないであろう京都アニメーション。


 今回は大学の友人から借りて見させてもらいましたが、残念ながら『響け! ユーフォニアム』の方は原作もアニメも触れておらず、しっかりと内容を理解できるのか心配でしたが、基本のストーリーが独立しているので普通に楽しむことができました。


 最初の感想としてはまず映像が美しい。いままでの過去作から京都アニメーションの実力は折り紙付きですが、非常にクオリティが高かったです。


 まぁ、それは誰もが察していることですが今回特に些細な仕草や表情から読み取れる感情の機微が絵と息遣いで語られているのが非常に印象的でした。


 特に登場人物たちの手足の動き、瞳の揺れによる感情表現が多彩でそこから多くの感情が読み取れますし、画的には優しい感じを作りながらもそこに書かれている人物たちの想いには優しさから溢れ出そうな細暗い感情も見ることができましたし、それが鎧塚みぞれと傘木希美という近くいながらも遠く、繋がっているようで繋がらない二人の関係とその変化を克明に表していました。


 これは小説やマンガでは難しいでしょうし、スケジュールがタイトな深夜アニメなどでもここまで気を配ることはできないでしょう。アニメという視覚と聴覚に訴え、なおかつ劇場アニメだからこそできる作品だなと思いました。




ストーリーライン

フェーズ1

・リズが家近くの森で動物たちと戯れている時に、青い鳥と出会う

・鎧塚みぞれが校門前で傘木希美を待つ

・登校してきた希美と合流し、音楽室に向かう

・みぞれが希美に『リズと青い鳥』の話のあらすじを教えられる(みぞれ視点で希美との出会いの回想シーンが挟まれる)

・二人がコンクール曲のリズと青い鳥の第三楽章を吹く

・他の吹奏楽部員がやってきて、パート練習のために希美がみぞれの元を離れる

・希美とパート部員たちとの雑談

・みぞれが希美が置いていった「リズと青い鳥」の本を読む

・リズの一日の描写


第1プロットポイント

・嵐の後、リズが家の前に倒れていた少女を助ける


フェーズ2

・みぞれが後輩である剣崎梨々花からお茶会の誘いを受けるが断る

・みぞれが希美に『リズと青い鳥』を返して別れる

・剣崎が帰り際に出会った希美とうまくいっていないことを相談する

・みぞれが学校の図書室で『リズと青い鳥』を借りる

・リズが倒れていた少女を看病し、ともに暮らし始める

・『リズと青い鳥』を読んでいたのぞみが図書館を出る

・希美とみぞれが部員たちが大好きのハグをしているのを見る

・みぞれの学校での授業風景(友人である中川夏紀との交流も描かれる)

・希美と後輩との雑談

・みぞれが校舎越しに希美を見つめる

・少女が青い鳥であることにリズが気づくも交流を続ける

・みぞれが外部指導員である新山聡美から音大を受けないかと言われる

・希美と合流したみぞれが新山先生から音大受験を誘われたことを明かし、希美も同じ音大を受けると言う

・希美が同級生の中川夏紀と吉川優子にみぞれが音大を受けることを明かし、自分も同じ大学を受けることを明かす

・みぞれが剣崎と交流する

・みぞれが『リズと青い鳥』を一か月返し損ねて図書委員に怒られるが希美が仲裁し、図書室を出て会話する

・みぞれが剣崎からオーディションに落ちたことを明かされる

・希美がプールに行こうと言い、みぞれが他の子も誘っていいかと訊ねる

・剣崎が来年のコンクールでは頑張るとみぞれに告げる

・希美とみぞれが吹奏楽部顧問である滝昇から互いの音を聞くように言われる

・みぞれが高坂麗奈から「本気の音が聞きたい」と言われ、自分が希美を束縛していると告げる

・希美が夏紀と会話する

・希美が新山先生と話し、音大を受けようとしていることを明かす

・希美がみぞれと新山先生がマンツーマンでレッスンしているところをじっと見つめる

・希美がみぞれから少し距離を取る

・みぞれと希美が別々の場所で黄前久美子と高坂麗奈の演奏を聞く

・希美が本当に音大に行きたいのか疑問に思う

・みぞれが希美とのソロ演奏をどうしたらいいのか分からず、新山先生に相談する

・希美が自身の進路の悩みを中川夏紀と吉川優子に打ち明ける

・みぞれが新山先生から青い鳥の気持ちになってはどうかと告げられる


第2プロットポイント

・リズが青い鳥を解放する


フェーズ3

・青い鳥が大好きなリズの選択を止めることはできないという解をみぞれが得る

・みぞれと希美がリズと青い鳥のソロ部分を演奏し、みぞれが圧倒的な演奏力と表現力を披露する

・音楽室を抜け出した希美をみぞれが追いかけてきて、互いの思いを明かす

・二人が大好きのハグをして、互いの好きな部分や感謝を言い合う

・希美が荷物を取りにみぞれの元を離れる(みぞれと出会った時の回想も)

・みぞれが再び『リズと青い鳥』を借りに行き、その際希美も一般入試の参考書を借りる

・みぞれが音楽室でオーボエを吹き、希美が図書室で参考書片手に勉強する

・二人が校門で合流して下校し、希美がみぞれのオーボエを支えると告げる

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