006――ヴェノム(映画)

あらすじ

 エディ・ブロックは正義感の強い記者で無謀で無茶な取材を行なっていた。ある時彼は大企業であるライフ財団のCEO、カールトン・ドレイクへの取材を命じられ、チャンスとばかりにライフ財団につきまとう闇を暴こうとドレイクに直接問いただす。だが、ドレイクの怒りに触れてしまったエディは逆に職を奪われ、恋人であるアンもとばっちりで職を失い破局してしまう。以来、自暴自棄な生活を送るエディだったが、そんな彼の元にライフ財団に所属する科学者ドーラ・スカースが現れる。彼女はライフ財団、そしてドレイクが未知の寄生生物――シンビオートを使って人体実験を行っているという事実をエディに話し、エディは彼女の協力でライフ財団の施設へと潜入。しかし、エディはそのシンビオートに寄生され、ライフ財団から追われる身となってしまう。その中でエディはシンビオートと一体化した超人ヴェノムとなり、シンビオートをめぐる戦いへと巻き込まれていく。



概要

 スパイダーマンの敵役として人気のヴィランが主役のダークヒーローアクション映画。

 監督は『L.A ギャングストーリー』のルーベン・フライシャー。今作でエディを演じ製作総指揮にも携わるのは『ダークナイト ライジング』でバットマンの敵役ペインを演じ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では主人公マックを演じたトム・ハーディ。


 公開前からポスターやPVで話題になっていた今作だが、同じマーベル出身のアイアンマンやキャプテン・アメリカなどの正道のヒーローとは違ったアンチヒーローなのだが、凶悪でありながらそこに垣間見える愛嬌が非常にキャラクター性を表していた。



 ストーリーとしては「巨大財団の悪を暴こうとした主人公が、宇宙から連れてこられた未知の生物と融合してしまい、財団の追っ手から逃げつつ共生関係となった生物の仲間の目的を阻止する話」という非常にシンプルで見やすい構図。


 劇中でエディとシンビオートの融合した姿であるヴェノムはエネルギー補給と称して問答無用で人を捕食したり、敵対する人間を容赦なくぶちのめしたりと最悪の名に違わぬ暴れっぷりを見せてくれるが、エディの中にいる時のシンビオートは銃を向けられ手を挙げるエディの格好をカッコ悪いという理由で下げさせたり、元恋人のアンに車で病院に運ばれている最中に彼女にいままでのことを謝罪することを勧めたりとエディに対して妙に人間的でお節介だった。そういった憎めないところがヴェノムの時の凶悪な暴れっぷりとのギャップがあり、これが他のキャラクターにはない個性として観客の心を掴んでいるように思える。l

 もちろんハリウッド映画ということもあり、暴れまわるヴェノムやエディの体から湧き出るシンビオート、ラスボスであるライオットとの戦闘など視覚的な表現も魅力的だったが、やはり観客の興味を引いていたのはエディとシンビオートとのバディ的な部分だろう(実際公開されてからTwitterにてエディとヴェノムの二次創作マンガで溢れかえっていた)。


 個人的に気になったのはヴェノムへの変身回数と燃料補給の関係。劇中ではヴェノムの姿に変身する回数は割と多いのだが、その回数に対して人を喰うシーンが少ないように感じた。といってもあくまでこれは設定の部分であって物語としては良くも悪くもハリウッドクオリティでまとまっていたと思う。



ストーリーライン

フェーズ1

 ・四つのシンビオートを乗せたライフ財団の宇宙船が墜落。シンビオートのうち一つが逃げ出し、残りが回収される

 ・エディの記者としての日常

 ・エディがドレイクへの独占取材を命じられるが、余計な闇まで暴こうとし、会社をクビになり、アンもとばっちりを受け職を失い破局する

 ・秘密裏にシンビオートの同化実験を行い、人体実験にまで踏み切るドレイク

 ・ドーラがエディに接触し、ライフ財団の闇を暴いてほしいと申し出てくる


第1プロットポイント

 ・迷った末、ドーラの依頼を受け彼女の手を借りてライフ財団に潜入するがシンビオートに寄生されてしまう


フェーズ2

 ・ライフ財団施設から追われるが入り込んだシンビオートが力を貸したことでなんとか逃げ延びる

 ・アンにライフ財団の悪行を伝えに行くが、シンビオートの寄生によって奇行に走ってしまい病院で検査を受けるエディ

 ・ドレイクがドーラが裏切ったことを知り、彼女からエディが協力者であることを聞き出し、彼女の始末を兼ねてシンビオートの同化実験に使う

 ・自宅に帰ってきたエディをライフ財団の傭兵が取り囲むがシンビオートの力で退け、エディとシンビオートが初めてまともに会話する

 ・エディがライフ財団の悪行を暴くためにかつての職場に証拠の入った携帯を置いて行くが、ロビーでSWATに囲まれ戦うこととなる

 ・アンがヴェノムの姿を見るも、彼女の車で共に病院に向かう

 ・行方不明になっていたシンビオート(ライオット)がドレイクと融合する

 ・病院のMRIによってエディとシンビオートが一時的に切り離され、普通の人間に戻ったエディがライフ財団によって連れされる

 ・エディから切り離されたシンビオートが犬からアンに宿主を一時的に乗り換え、エディの元に向かう

 ・拘束されたエディがドレイクと話し、彼もシンビオート(ライオット)と融合したことを知る

 ・ドレイクとライオットが結託して他のシンビオートたちも呼び寄せようとロケットの打ち上げを計画する

 ・用済みとして殺されそうになったエディをシンビオートに寄生されたアンが助け、シンビオートがエディの元に戻る


第2プロットポイント

 ・ヴェノムがライオットたちとの対立をエディに宣言する


フェーズ3

 ・ロケット打ち上げを強引に進めるドレイクが中止させようとする社員を刺し殺し、ロケットに乗り込もうとする

 ・ヴェノムがそれを阻止しようとライオットと戦う

 ・ヴェノムがライオットの乗ったロケットのエンジンを破壊し、彼もろともロケットが爆発四散する

 ・ドレイクの件で記者としての地位を取り戻すエディ

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