母親の気持ち

 僕の母は、古い人間の割に新しいものに寛容で、夫が炊事していることなど全く気にしない。

 対して僕の母と同い年の妻の母。

 自身が小姑などに色々言われてきた人。

 自分の娘が旦那に炊事をさせていることに、最初はウチに来るたびに申し訳ないと言われてました。

 でも、どんな偶然か、義理の弟、つまり妻の弟であり義母の息子であるが、同じように炊事は夫の担当らしい。

 そんでもって、自分の娘がそんな感じなものだから、姑として義弟のお嫁さんにはお小言言いたくても何も言えないらしい。


 つい最近、妻の親族で不幸があり、義父は一足先に出向いていたため、義母を連れていくことになった。

 最近は年齢なりにボケてきてることもあって、一度ウチに連れてきて、そこから一緒に葬儀場に行くことになり、時間的に昼食をとっていった方が良いタイミングだった。

 もともとは、焼くだけのチーズ入りハンバーグを食べる予定だったので、買い出しの必要は無かったが、流石にご飯とハンバーグだけではと思い、丁度冷蔵庫に入っていた小揚と絹豆腐、長ネギを使って味噌汁を作った。

 まだまだ食材はあったけど、他の料理は流石に時間が無いので無理と判断。

 でも、年寄りにチーズハンバーグというのもと思い、大根をおろし、ハンバーグの上に大葉を置いて、その上に汁を絞った大根おろし、そして味ぽんマイルドを掛ける。

 少しは和風テイストになったか?

 義母が味噌汁をすする。


 「あぁ、美味しい」


 作った料理を褒められるのは嬉しいものだが、最近は娘の旦那が普通に料理作っても、もう申し訳なさとかは無くなったようだ。

 そう、今の時代は義母が結婚したときとは違うのだ。

 美味しくご飯を食べれれは、それでオッケー!

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