兄弟

貝塚でひたすら貝を掘る兄

それをかたわらで見ている弟

兄は学校へは行かず ただ夢中で貝を探す

学校が終わると弟は兄を迎えに行く

父が帰宅し、兄は父からの質問にゆっくりと答える

その晩兄は父に叱られ 大粒の涙を流した

弟はそれを

ただ うしろで見ていた


その後 兄は溶接工になり

大学院を修了した弟は考古学者として

有名になった 時々テレビにも出ている

兄は亡くなる二日前の夕方 あの貝塚に行ったそうだ

弟は想う。


越えることのできない存在


永遠の内側

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