第19話 ミホの死亡記事

19 ミホの死亡記事


 栃木新聞

 帝国繊維東工場から西工場へのかけ橋、通称幸橋に北中学の女生徒安堂ミホさんが吊るされているのが発見された。

「一目で死体だということがわかりました」

 発見者の河川敷をねぐらとしている大門進さんは証言した。

「薄暗い外灯をあびてロープのさきでゆれていましたから」

 残酷な死体だった。猟奇事件といっていい。こんな田舎町でこのような事件が起きたのは初めてだ。血をぬかれ、内臓もどうようにぬかれて、薄っぺらになったミホさんは春の風に揺れていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る