白露

拝啓、猫先生。

 台風が接近しているこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

 先日久しぶりにお目にかかり、お元気そうなご尊顔を拝すことができて、とても嬉しかったです。会いたいときにはなかなか会えず、寂しいときにひょっこり出会えるとは、まさかのときの友のようなめぐり逢いに感謝いたします。

 猫先生は、いろいろなことを教えて下さいます。

 どうしていいのかわからないときは、もがきあがくのではなく、ただじっと動かず、しずかにあるがままを見つめることを教えて下さいました。

 人は、一部を見て、全体を把握したような気になる事が多いです。

 一部を知って、わかった気になるのはとても危険です。一部を見て全体を見、また全体を見て一部を見るを繰り返し、相互作用的に物事を判断すると、それなりのものの見方ができます。

 もっとよく知るためには、全体を広く俯瞰するか大いなる神の視点で眺めることで、予想以上の見方となるのでしょう。

 中途半端な知識で一喜一憂せず、より広く深く眺めながら事実を知り、あるがままを受け止めながら静かに観察する。

 そして、自分の考えをもって、次の一手の行動をする。

 そこに達する前に、あーだこーだと騒ぎ立て、毛嫌いし、勝手にふさぎ込んでいては消耗するばかりです。

 気をつけてはいても、気づけば消耗させられているということも多々あります。

 心にさざ波を立てず、先生のように落ち着いて生きていきたいものです。

 またお手紙書きます。

 どうか先生も、体大切になさってください。

                         敬具

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