勇者召喚に巻き込まれた俺は神から貰ったスキルで極普通に暮らす

さくら

巻き込まれし者

どうやら巻き込まれたらしい

「……のー……あのー……陸さーん?」


 女の声で俺は目を覚ます。

 声がする方を見るとロリがいた。


「ロリでは有りません!神です!」

「……」

「何痛い人見てる目で見るんですか!?」


 むっ……動けん……


「当たり前じゃないですか。意識のみを一時的に、呼び戻してるんですから」


 そうか。何かあったのか?


「覚えてないんですか……?」


 呆れたように言うな。寝てたんだぞ。学校で


「寝ちゃダメですよ! もういいです……あなたは異世界の勇者召喚で巻き込まれました」


 巻き込まれね。イラッとくる。巻き込まれね。


「はい。巻き込まれなので貴方は雑魚です。子供より弱いです。なので親切な私が貴方にスキルを上げたいと思うのですけど聞いてますか?」


 ん? 悪ぃ。無性にイラついてな。スキルがなんだ?


「そこまで聞けてるんだ……。まぁ、スキルを上げたいと思うのですけどいいですか? って」


 あぁ。いいぞ


「では……かなり沢山のスキルを上げたのでさようなら。次起きる時は召喚者が居ますので」


 そう神が言うと俺の意識は消えた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「……ん……ずーまーくん! あーずーまーくん!」


 揺らされ俺は目を覚ます。


 揺らしていた本人は……誰だっけ?

 校則違反の金髪の長い髪に黒目がハッキリしていて顔立ちが物凄く良く、大人びた雰囲気がある見た時のあるような女子だった。


「やっと起きた?」

「……あぁ」


 あー、人と話せねぇ……


 俺はボッチで人と話すのが超絶苦手だ。


「何か説明有るらしいよ。誘拐犯の……」


 周りを見ると金髪碧眼のロリ少女と鎧を身に纏い剣を腰にした厳つい男2人、そして見た時あるような……ってうる覚えの男2人、女2人が居た。


 うる覚えの男は黒目黒髪の平均と黒目黒髪のイケメン。

 うる覚えの女は黒目茶髪の可愛い子と黒目黒髪の平均。


 因みに俺は親から言われてることなのだが黒目黒髪の平均より少し上らしい。


「おかしいですね〜……5人のはずなんですが……まぁ、いいでしょう。皆さん、私があなたらを召喚したミレイユ・フォン・フレリアルです」

「魔王が復活したのでこの世界を救ってくださいとか言わないよな?」


 黒目黒髪の平均(男)が金髪碧眼ロリに言った。


 するとロリが驚いたようにした。

 表情は変わってない。


「凄いですわ。当たってらっしゃいます」

「マジか……」


 かなり落ち込んでる平均の男子。


「助けてくれますよね?」

「なんでだよ! こんな世界どうで──」

「……」


 俺が無言で平均の口を抑える。

 手が汚れぬよう服で抑えている。


「それ以上、言うな。おーけー?」

「……何すんだよ! ボッチが!」

「俺は、お前が、死んでも、全然関係ない。だが、そこにいる女子は、トラウマになる。それつまり、この世界から、元の世界に戻る事、不可能に近くなる」

「何言ってんだよ!」

「そこの者は分かっていますね」

「何言ってんだロ──いっ……たくない……?」


 いってぇぇぇぇぇぇっ。なんで叩いた俺が痛くなんだよ! おかしいだろ!


「ロ……なんでしょうか?」

「ロr──」

「お前は、もう、喋んじゃ、ねぇ」

「ロの後が聞きたかったのですが……」

「ろ、ロードって、言おうと、したんですよ。きっと……ははは」

「ロードですか。私はてっきりロリと言われるかと思いました」

「ロリだなんて。ミレイユさんは、ちゃんと、大人びてますよ」

「そんな冗談言わなくてもいいですよ。嬉しいですけどね」

「冗談だなんて、とんでもない」


 ちょっと深呼吸しようか……すー……はー……すー……はー……


 よし、普通に話してみるぞ。


「どうされましたか?」

「正直……言いますと……人と話す事が無く……緊張してます……ハイ」

「この方は本当のことを?」


 話を振られた4人は同時に少々困惑しながら頷いた。


「まぁ、さっきまで頑張って話して下さったんですね」

「ちょっと……深呼吸していいです?」

「はい」


 もう一度俺は深呼吸をした。


「あー……あー……ふぅ……よしっ。話を続けてください」

「は、はい。勇者方5名で魔王軍を倒していただけないでしょうか?」

「ここに居るのは6人ですが?」

「そうなんですよね……では皆さん”ステータス”と仰ってください」


 俺含め6人全員同時にステータスと言った。


 ───────────────────


 東陸あずまりく現在男

 Lv.1(限界突破)

 HP.25(限界突破)

 MP.8(限界突破)

 攻撃力.6(限界突破)

 守備力.12(限界突破)

 魔攻力.7(限界突破)

 魔防力.9(限界突破)

 俊敏さ.5(限界突破)


 常時スキル.【言語解析】【経験値10倍】【魔法の知恵】【金運Lv10】【攻撃魔法反射】【物理攻撃反射】【状態異常反射】【HP超即時回復】【MP超即時回復】【全ステータス限界突破】【レベル限界突破】【偽造鑑定】


 使用スキル.【鑑定】【チェンジ】【剣術Lv10】【双剣術Lv10】【短剣術Lv10】【弓術Lv10】【魔剣術Lv10】【鍛冶Lv10】【料理Lv10】【魔物テイムLv10】【収納BOX.Lv100】【気配察知Lv10】【縮地】【防御無視攻撃Lv10】【執事Lv10】【メイドLv10】【創造Lv10】【透明化Lv10】【裁縫Lv10】【洗濯Lv10】【MP強奪】【生活魔法Lv7】


 魔法.【火属性Lv10】【水属性Lv10】【地属性Lv10】【風属性Lv10】【光属性Lv10】【雷属性Lv10】【闇属性Lv10】【重力属性Lv10】【無属性Lv10】


 称号.【巻き込まれし者】【剣の達人】【最強の魔法使い】【魔物テイマー】


 ───────────────────


 頭おかしいだろ。何【メイドLv10】って? 何『現在男』って? どうゆうこと?


「称号に勇者がある人は手を挙げてください」


 パッと俺以外手が上がる。


「貴方は何になってますか?」

「【巻き込まれし者】ですね。ステータスもスキルもかなり弱いです」

「そうですか……残念です。あの方に銅貨から大金貨を10枚ずつ差し上げて鉄剣と装備の類を差し上げて」

「ハッ!」

「ではえっと……」

「リクです」

「リクさん。またお会いできたらお会いしましょう。今騎士にお金等用意させてますので今しばらくお待ちください」


 そう言うと機械のようにミレイユは止まった。


 うわ、怖っ……


「どうされましたか?」

「あ、ミレイユさんがあまりにも美しかったものでつい見惚れてしまいました」

「そ、そんな美しいだなんて……言わないでください……恥ずかしいです……」


 初めて表情を顕にした。それも羞恥の。うむ。いいな。


「あの……拒否権って無いんですか……?」


 茶髪の可愛い子がおずおずとした様子で聞いた。


「勿論無いですよ」


 そう満面の笑みでミレイユは答えた。


「魔王を倒さないと帰還させられない。そうですよね?」

「はい。リクさんはお詳しいですね」

「いやー、自分がいた世界には異世界を題材にした本とかがありましてこういった召喚モノも多々あるんですよ。それで少しだけ知識があるんです」

「なるほど……」


 と、そこへ騎士達が音を立てずにやってくる。


「ミレイユ様、言われました品御用意してきました」

「ではそこのリクさんに全てあげてちょうだい」

「質問よろしいでしょうか?」

「何?」

「無礼を承知で聞きます……何故そこの男に渡さなければならないのでしょうか?」

「勇者よりも弱いけど何か勇者より強い感じがするの」

「と言うと?」

「力は勇者の方が強い筈よ。それでもリクさんはそこの品がない男「誰が品がな──」……をあのようにどうでもいいと言いながら殺されないようにしてます。さっきのロードも適当な事を言ってるのでしょ?」

「……そうですね。正直言いますと自分でもミレイユさんのことはロリだと思いま──」


 ……ミレイユさん怖いよ? 無言で見つめないでくれないかな?


「……思います。が、態度と気迫などが大人に近いと俺は思います。見た目はアレでもほかが良ければ全然いいと思います。無礼だ、と言って俺をそこの騎士達に殺せと命令したら俺は殺されます。俺は巻き込まれで勇者ではありませんから」


 どう? 決まったか? おかしな所ないよな? 分からねぇ……。きっと……ってなんで震えてるの? あ、俺死ぬのか……


「……ぷっ……ふ……ふは……ふふ……」


 そしてミレイユは下品に大笑いした。


 え? ツボ?


「あは……私がリクさんを殺せだなんて言いませんよ……はは……はぁ……気に入りました。いつでもお城に来てください。私が直々にリクさんをご案内します」


 どうやら俺はミレイユに気に入られたようだ。


 そしてミレイユは王女か女王のどっちかなのだろう。と俺は思った。

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