第一二話 初夜(二〇〇〇年八月二五日 二二時半頃)

 森野さんと彼は一度もしないまま、彼が就職して東京に行ったことでフェードアウトした。森野さんは修士課程の授業や論文執筆で忙しく、彼は入社一年目で余裕がなかった。

「結局は私が彼に対して心を開けなかったのかもしれません。だから、いつも優しく私に接してくれた彼に今も時々申し訳なかったと思うんです」

 修士の一年目は、投稿論文も受理され、研究も卒論を発展させる形で順調に過ぎた。ところがいわゆるバブル経済が破綻し、経営基盤の弱かった父親の会社はその影響をまともに受けて、資金繰りが苦しくなった。今回は取引先の企業の支援も得られる状況ではなかった。売り上げは落ちていたものの、技術的には高い評価を受け、経営も健全だったにも関わらず、銀行からは、いわゆる貸し剥がしと呼ばれる、融資の返済を迫られた。返済の催促も頻繁になり、やがて休日にまで行員が家に顔を見せるようになった。

 その頃森野さんは休日も関係なく観測に行ったり、空いた時間もアルバイトをしていたから、家には寝に帰るようなものだった。

「私がたまたま家にいた日曜日にも銀行の人が来ました。あの日は仲間の観測の手伝いに行く予定だったのが急に中止になって、ちょうど母が外出していたから、たまには少しは親の役に立とうと思って、それとどんな奴が来るんだろうとお茶を出すのを口実に覗いてみたんです。さすがにジャージというわけにはいかないから、一応ちゃんとした格好をして」

 年齢は森野さんより少し上くらいで、取り立てというイメージとはかけ離れた大人しそうな感じの男だった。立ち上がると森野さんをじっと見てから、静かに頭を下げた。そして座ると黙ったまま父親に視線を戻した。

 ぱっと見の印象は悪くなかった、と森野さんは言った。それどころか、見た目に関してはかなり好みのタイプだったのだそうだ。すらっと背が高く、育ちも良さそうで、銀行員としてはラフな感じがした。ただ、部屋を出たあとに残った苦い印象が妙に森野さんの心に引っかかった。

「目が暗いというか、なんというか、漠然とそんな印象が残っていました。そのときはやりたくない仕事をしているからかなと思いました」

 森野さんそうは言って、こわばったような複雑な表情を見せた。健全な融資先から資金を引き上げたいなんてまともな銀行員なら思わないだろう。父親も同じようなことを言っていたそうだ。

 一週間ほどして母親から銀行の融資が続くことになったと聞いた。その担当者が本店にまで掛け合ってくれたのだという。

「だいたい予想はついているかもしれませんけど、ほどなくしてその銀行員が母を通して、それとなく私に交際を申し込んできました。その件以来、父も母もすっかり彼を信頼するようになっていました。私から見れば両親とも丸め込まれたという感じで、そういう意味では彼は優秀だったんでしょうね」

 森野さんは断ったが、その銀行員は作戦を変えて、正式に見合いを申し込んできた。周りを固められ無視できる雰囲気ではなかった。ただ一度くらい見合いを経験してみるのも悪くないと森野さんは思ったし、あの苦みの原因を探ってみたい気持ちもあった。結婚を断ればいいだけの話だ。

 森野さんは唐突ににこりと笑うと、今度は椅子ごと私のほうに向き直った。仕方なく私も同じようにしたが、膝をつき合わせるほど近かったので微妙に後ろに下げて対処した。

「ダンスール・ノーブルってご存じですか?」

「えっ? なんですか、それ? フランス語っぽいですね」

 なんか話が急に変わったので私は戸惑いながら答えた。

「あ、鋭いですね。もちろんバレリーナはご存じですね?」

「そりゃまあ。クラシックバレエの女性ダンサーのことでしょう?」

「わりと一般にはそう思われていますけど、正確にはバレエ団の、一番上位の女性バレエダンサーのことを指すんですよ。プリマというのはそのなかでも特に優れた人のことをいうんです」

「へえ、それは知りませんでした。主役の人をプリマというのだと思ってました。さっきのはなんといいました?」

「ダンスール・ノーブル」

「そう、それ。フランス語だとすると、高貴なダンサーとかいう意味ですか?」

「さすが! 直訳するとそうなります。バレリーナの相手役の男性のトップダンサーのことをそういうんです。だいたい王子様とかの役で」

「へえ」

「なんでこんな話を始めたかというと、私の好みの男性の話なんです。どうでもいいかもしれませんけど、小さい頃にバレエ教室にときどき来ていたバレエダンサーが私のタイプの原型らしいんです。要するにダンスール・ノーブルのような、すらっとしていてそれでいてちゃんと締まった筋肉がついていて、髪型とかも自由な感じで。それに踊っているときってすごく集中して真剣な顔をしているじゃないですか。だからへらへらしているよりもきっと締まった表情を見せる人が好きなんです。たぶんファザコンとかそんなような類のコンプレックスなんでしょうね」

「そうですか……」

 私も研究をしているときは集中しているが、もしかすると外から見たら惚けたような顔をしているかもしれないし、それにテニスをやっていた一〇代まではほっそりしていた体型も、この一〇年ほどは座っていることが多いせいでお腹周りを中心にたるみ始めていた。少し鍛えれば戻るだろうが、少なくとも今は間違いなく森野さんの好みではないだろう。ただそれよりも、父親と仲がよかったらしいのでファザコンかと思ったら、そうでないのが意外だった。

「それでお見合いでもう一度会ったら、見た目は完全に好みでした。というか、どうも母から私の情報を仕入れたようです。あとから思うと可能な限り私の好みに合わせてきたという感じでしたから。趣味でサッカーをやっていて動きも軽やかでした。話をしてみたら意外にも話題が豊富で、面白いということはなかったけど、退屈もしない、そんな感じでした。初対面のときのような目も暗さもありませんでした。お見合いが終わって私はちょっと動揺しました。だって私の心がわずかでも動かされているのを感じたから。ちょっと油断していたのかもしれませんね。彼のことを見くびっていたんだと思います。それに自分がそれほど見た目に左右されるとは思っていなかったんでしょうね」

 結婚までは考えなかったけれども、もう一度会うくらいならいいかなと思い始めている自分に気がついて、驚いたそうだ。そして、「もう少しゆっくり知り合いたい」とかなんとか理由を付けて、結婚が前提ではなく、単なるデートなら、ということで次に会う約束をしたのだそうだ。彼の母親はそういう中途半端なことになかなか納得しなかったそうだが、彼が説得した。

「修士の二年になって、進路に迷いがあったこともありました。博士課程に進んでみたいという気持ちもあったんですけど、先輩たちを見ていたら自信が持てなかったんです。それに経済状況を考えると就職するべきだとも思いました。今振り返ってみると苦しいことから逃げようとしていたんだと思います。太田さんなら分かってくださると思いますが、研究ってすごく楽しいけれど、逆に思うようにいかないとかいい結果が出ないとかそういうときってすごく苦しいですよね。学部の時は勢いみたいなもので苦しさもほとんど感じることはなかったし、苦しいといってもせいぜい発表前に話をまとめるとか、論文を仕上げるとかそういった種類のことでした」

 進路を決めなければいけない時期が近づいていたが、研究は停滞し、卒論の結果を超えられないでいた。研究の世界にはよくあることだとはわかっていたが、自分が追いつめられて行くのを感じたのだという。その頃、銀行員の彼からは頻繁に電話があったが、積極的ではあってもしつこいとは感じない絶妙なアプローチだったらしい。あとでわかったことだが、彼は東京に異動になる話があって急いでいたらしい。

「彼の方が六歳も上だったし、結局一枚上手だったんでしょうね。デートを重ねるごとに距離を詰められていることを感じました。私のほうから積極的に好きという感じには最後までならなかったけど、しばらく連絡がないと物足りなく感じるくらいにはなっていました」

 そのタイミングで再び事件が起こった。父親の会社で経理を任せていた人間が密かに絵画や土地への投機に手を出して、穴を開けていることが発覚した。一億円に満たない額で、会社の規模からすると大きくはなかったが、すでに担保にできるものは残っていなかったし、なんとか堪えていた経営がついに立ち行かなくなった。追加の融資を望める状況ではなかったし、倒産もやむなしという事態に追い込まれた。

「言い訳になっちゃうんでしょうけど、大学院で研究を続けるのは無理と思いました」

 担当は変わっていたが、彼はその晩家に飛んできた。父親は事情を説明し、土下座して彼に詫びた。さすがに彼も困った顔をしていたが、『うまくいくかどうか自信はありませんが、なんとかしてみますから、二、三日待ってください』と彼は言った。翌々日、森野さんが夜遅く家に帰ると、父親が難しい顔をして話しておきたいことがあると言った。森野さんは、やっぱりうまくいかなかったのか、と覚悟を決めた。ただ倒産しても、会社や建てて間もない家や財産を失うけれど、たいした借金は残らないから心配いらないと父親が言っていたし、自分も働けば大丈夫だと森野さんは思っていた。

「父は、倒産は免れたが会社は人手に渡ることになったと私に告げました。社長として父は会社に残るけれども経営権はなくなるということでした。彼の叔父が会社を丸ごと引き継ぐ、つまり買収することになったんです。技術分野はまだ父が取り仕切っていたので、父がいないと今後会社の発展が見込めないということでした。倒産すると一〇〇人近い従業員が路頭に迷うことになるので、父はしぶしぶ引き受けたそうです。それは創業した父にすれば屈辱的ですよね。でもまあ彼がいろいろ動いてくれたおかげで、少なくとも従業員も、そして父も失業者にならずにすんだことは事実です」

 会社の買収が成立したあとしばらくして、森野さんは彼から正式にプロポーズされた。「もう観念するしかないな」と森野さんは思ったという。それから一ヶ月ほどした五月半ばに彼から東京への異動の話が出ていることが知らされた。異動の前に地元で挙式したいという彼の要望を森野さんは断われず、結婚が決まってから式まではあっという間でマリッジブルーになる暇もないほど忙しかったそうだ。

 成り行きで博士課程に進んでいた大学院はとりあえず休学することにした。指導教官は、研究を再開することが可能になったら例の東京の先生のところで再開すればいいと言ってくれた。そのときはすでに指導教官の下で研究を続けたいと思っていたから、喜びもそれほど大きくはなかった。たとえ父親の会社がそのまま倒産したとしても奨学金をもらえば大学院は続けられたはずなのに、なぜその時点で研究をあきらめてしまったのか自分でもよくわからない、研究が手詰まりになっていたことで、気が弱っていたことが直接影響したとはいまでも思えない、と森野さんは言った。

「話はちょっと変わりますけど、何度目かのデートで彼はキス以上のことを求めてきました。キスをしながら車の中で彼の手が私の身体をまさぐり始めたとき、私は結婚するまではイヤだと強く拒絶をしました。結婚という言葉を発したことが自分でも意外でした。別にもったいぶるつもりはなかったんですけど、そのままずるずるといってしまうのが嫌だったんです。彼の方はすぐに手を引っ込めて、素直にごめんと謝ってきました。そのあと運転する彼の横顔が満足そうだったのは私が結婚を意識していることがわかったからだと思っていました。あのときはまさか今時あれほど処女性にこだわる人がいるなんて思っても見ませんでした」

 そこで森野さんは、ある小説の名前を挙げ、私に読んだことがあるかと訊いた。

「タイトルは聞いたことがありますけど、読んだことはないです」

「その小説は南米の作家が書いたもので、舞台は南米の田舎の町。蒸気船とか出てきてたから一〇〇年近く前の話かな。でも自動車も出てきていたから、もうちょっとあとかも。その町にどこかから金持ちらしき若者が流れてきて、その町の女の子と結婚をすることを決めます。ところが初夜の晩、その女の子が処女ではなかったことがわかり、その若者は女の子を彼女の実家にもどしてしまうんです。それでその女の子のお兄さんたちがその女の子の処女を奪った男を殺すんです。殺された男の親友が、その殺人をドキュメンタリーチックに語っていくんです」

「まさか、森野さんの初めての相手が殺されたとか?」

 私は冗談めかしていった。

「実はそうらしいんです。でもまだ死体が発見されていないから、殺人とは断定されていないんですけど」

 森野さんは深刻な顔をしていった。

「えっ、まさか」

 私が絶句すると、森野さんは面白そうにくすりと笑った。

「やだ、冗談ですよ。いまのところ殺人事件は起きてません。ただ私が処女でなかったことが初夜の晩に問題になったのは、その小説と同じです。その本はわりと最近読んだんですけど、ああ、まったく現代の日本でも同じような男がいるとは、と思いました。っていうか、男ってそういうもんなんですかね?」

「いや、それは人それぞれじゃないですか。私はそんなにこだわりませんけど。そんなにってことは少しはこだわっているのかもしれないけど。つまり、あんまり遊んでいた女性はいやかな。そういえば私の友人は、結婚しようと思っている女性が処女でなかったことに悩んでいましたのがいました。でも結局結婚して、いまでもうまくいっているようですけど」

「ふうん。ってことは元夫は、ちょっとこだわりすぎだけど、そんなに特殊に異常でもないってことか」

「でもその傷は?」

「ああ、これですか」

 そういって森野さんは腕をさすった。

「これはまあそのことに関係していて、夫はものすごく嫉妬深い人だったんです。夫は私が処女だと勝手に信じ込んでいました。私が結婚前に思わせぶりに断ったことで確信を深めたらしいんです。私が拒んだときのあの満足そうな顔はそのせいだったようです。彼は初夜の晩、一応やることはやったあとで、『おまえ、初めてじゃないんだな』と天井を睨みつけながら怒ったようにいいました。私は彼の問いかけに戸惑いながらも、正直に一度だけしたことがあるといいました。すると彼は起き上がり今度は私を睨みつけて、『一度だけ? そんなことが信じられるか。それとも強姦でもされたのか?』と怒りをあらわにしていいました。違うと答えると、『じゃあなんで一度だけなんだ。ひとりだけの間違いじゃないのか? それにだったらなんで俺が求めたときに結婚までは駄目なんて処女みたいな断り方をした!』とさらに激しい口調で責め立て、拳でベッドを殴りました。それから彼はいらいらしたように立ち上がってバスローブを羽織ると、そばにあったソファを少し浮き上がるほどの力で蹴飛ばしました。そのときになって始めて彼の怒りの激しさに気づきました。驚いて起き上がると、私はヘッドボードに身を隠すように膝を抱えました。それから、『別にそんな意味で言ったんじゃありません。それになんで処女じゃなきゃだめなの? あなただってそんなこと一言もいっていないじゃない』と弱々しく反論しました。普通ならもっと強く言えるはずなのに、そのときはなんかそういう元気がなかったんです。悔しいけど涙まで出てきました。彼は『なんだと!』と怒鳴ると今度はベッドの横っ腹を蹴り上げました。嫌な振動が伝わってきました。私もだんだん頭に来て、『だったら、処女ですっていえばよかったわけ?』と言い返しました。そしたら、『ふざけるな! 処女があんな風にいったりするもんか!』、だって……。

「さっきもいったとおり結婚が決まって挙式までの間、ものすごいばたばただったんですけど、その間彼は仕事の方もすごく忙しかったのに、とても優しかった。いつも私に気を遣ってくれて、私の相談にもきちんと答えてくれたんです。それで私も、変な話かもしれないけどだんだんと彼のことを好きになっていました。これだったら結婚してもどんどん好きになっていつか本当に愛することができるかもしれないなって。本当に〝仕事〟はできる人だったんですね。

「式も盛大でとても素敵なもので、研究室の仲間もたくさんお祝いをしてくれて。結婚式っていうのはそういう効果があるんですかね、ようやくそのときになって、私はこの人にすべてを委ねてみようという気になったんです。すべてといっても、私の全部ではなく、妻としての私というかそんなものです。まあ決心したという方が近いかもしれませんね。

「だから初めての晩もとってもリラックスして、とっても気持ちよくなることができたんです。彼はたぶん、上手というよりも、丁寧で、悪くいえば執拗で、それはあとから思うと、研究室の仲間と男の子の部屋に遊びに行ってふざけ半分で見た、いわゆるセックスマニュアルみたいな感じでした。少なくともその時はそんなことは思わなかったし、この人は私のことをすごく愛してくれているんだと思ったんです。だから私も彼の愛撫を素直に受け入れることができたんです。だって足の指の間まで舐めるんですよ。それに私、耳元で名前を囁かれるのに弱くて。とにかくまあいろんなところをいろんな風に刺激されて、それでまあ最後にはほんとにすごく気持ちよくなっちゃったんです」

 森野さんは別に照れるでもなく恥ずかしがるでもなく淡々と話をしていたが、私は酔いとは別に顔が赤くなるのを感じた。それに本人をすぐ目の前にしてその情景を想像した私はもぞもぞと腰を動かして調整せざるを得ない状態になっていた。

 森野さんもそのことを察したらしく、小さくひとつ咳払いをすると話題を変えるように質問を私に投げかけてきた。

「ところで太田さんはご結婚されているんですか? あるいは彼女はいらっしゃるんですか?」

 合コンなんて出たこともないが、少なくともそういう場だとしたら私に気があると取れなくもないような質問だ。

「いや、結婚はしてないですし、今は彼女も」

 正直に答えた。

「ふうん」と森野さんは気を持たせるような質問をした割にはあまり関心なさそうにいった。「二度と結婚をしたいとは思っていない私が訊くのも何ですけど、結婚したいとは思わないんですか?」

 やはり私の思い過ごしだったようだ。三〇代の独身研究者に対する単純な興味なのだろう。淡い期待は軽い失望に変わり、それにちょっと説明が面倒なことなのでひと呼吸だけ考えてから私は答えた。

「難しい質問ですね。私は結婚願望はほぼゼロなんです。うちは両親が離婚しているし、まあそれまでは家庭内はひどい状況で。ちょうど私が中学から高校くらいの時で、今になって思うと自分で考えていたよりも精神的に苦痛だったみたいです。そのころよく母親から愚痴を聞かされたり、両親と食事をしても誰も一言もきかずに、私は食べ物をほとんど噛まずに呑み込むようにして食べていました。そのせいか結婚とか家庭を持つことに対する憧れとか希望とかいうものはまったくなくて。森野さんの大学時代じゃないけど、よほど自分に合うような人が現れれば別なんでしょうけど」

「へえ、大変だったんですね」

「でも当事者ではないですからね。そんな時間もいずれは終わると思っていたし」

「そうか。私も強くならなきゃなぁ。いや、強くなろう。いつまでも逃げている人生なんて嫌だし。太田さんも結婚をしたくなるような人が現れるといいですね」

「はは。まあ気長に待ちますよ」

「ところでこの腕の傷の話でしたね」

「いや、別に無理に話してくれなくても」

「あの、できれば聞いてほしんですけど、いいですか?」

「そりゃまあ、話したいのであれば。でもできればあまり夜の生活のことは」

「あは、ちょっと過激でした? じゃあ、それについては必要最小限にします」

 そういいながら森野さんはなぜかホッとしたような感じで嬉しそうに小さく微笑んだ。

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