第22話

部活後

枇杷島は、八木先生と織田先生に呼び出されて職員室にいった。


部室で着替えている時、いつも話しかけてこない2年の先輩がなにやらこちらを気にしていた。

「お前、変わったな。入部仕立ての時は、俺らなんか眼中なくて遊びでやってるもんだと思ってた。」

「・・・そんな事ないですよ。」

「お前ら仲良いじゃん。ストリートでもバスケやって、部活は試合のため、みたいな。そんなとこ、ちょっと俺ら、なんつーか、」

「おい、もうやめろって。終わったことじゃん。」

「そうだよ、俺らもう応援するって決めたじゃん。」

「ちげーよ、こういうのは、ちゃんと腹割って話さないと、ずっともやもやしたまま同じコート立てないだろ!」


もやもや、させていたのか。

1年しか変わらない年の人に、気を使わせていたのか。

前の俺も、今の俺も。


「すみません!入部したての頃は、正直先輩たちよりバスケのこと真剣じゃなかったです。

でも今は違います。俺ら自身も強くなりたいと、ちゃんと思えるようになったんです。だから今、俺も枇杷島もすげー真剣なんです。


まだなんていうか、部活は先輩たちの代だからでしゃばるマネはしたくない。

でも、それが結果としてチームが強くなることにつながるなら、俺たちはもっと頑張れるし強くなれる気がします。」


黙って、真剣に聞いてくれていた。


「・・・わかった。

俺は部長だから、みんなをまとめるのが役割だ。一番強いとか上手いからとかじゃない。

だから、お前ら絶対どこのどいつよりも強くなって、俺らのチームを強くしてくれ。」

「はい!」

「なんだよ!後輩任せか!」

「俺らももっと練習しよーぜ!」

「ってか枇杷島いねーのかわいそうだな。」

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