第11話

 オレはノンビリ席へ戻る。

そぉすりゃ皆して帰り支度 整えてっから、またまたビックリ。


「え? なになに? もぉお開き?」

「いや、2次会ですって、石神サンも行きますでしょ?」

「ちょっと歩くんですけど、ダーツバーがあるんで、そこで飲み直しましょうよ!」


 ダーツバーねぇ。

学生以来だけど、もしかしてコレはユーヤ君の悪知恵の賜物?

だからって どーすりゃイイのか分からんでいると、ユーヤ君がオレの隣に滑り込んで来る。


「石神サン、石神サン、」

「ぉ、おぅ? なになに?」


 ユーヤ君にピタッと擦り寄られて思わず狼狽えちゃってるオレ、うぶい。

上目遣いで見上げてくるユーヤ君は、声を潜める。


「移動中にサラッと抜けちゃってOK何で」

「つってもさぁ、」

「大丈夫ですって、浅野先輩にも承諾して貰ってますからっ」

「え? マジで?」

「マジで。浅野先輩も石神サンと ゆっくり話したいって言ってますから、ね? ね?」


 うわぁ~、良く出来た子だわぁ、この子ぉ!!

女の世話までしてくれンの!? どーゆー素晴らしスィ育ちしてんだよ! あざース!!


「でも、ユーヤ君は?」

「俺はダーツバー付き合いますよ! そこね、ビリヤードも出来るんです!」

「なに、好きなん?」

「今、超ハマッてる!」


 うわぁ、楽しそぉ~~カワイイ~~

まだまだ遊びを優先しちゃう辺り、お子チャマだわぁ~~

ちっと安心した。育ち盛りなジャリん子みたいで。

ユーヤ君には やっぱり健全でいて欲しい。オレ的に、そぉ思っていたい。


 と言うコトで、オレは浅野女史を お持ち帰りさせてイタダキマス。

残していくユーヤ君が気がかりだけど、そんなコトより自分の脳内を健全に戻したいって方が優先なんだ。



(脱・女日照り!!)



 ダーツバーにハシゴする道中、オレと浅野サンは愉快な仲間達の目を盗んで路地裏に身を隠す。そんなハードボイルドな一幕に揃って腹を抱える。


「プププ! 何か、緊張した! 恥ずかしいね!」

「ユーヤ君が露骨だったからっしょ、ギャハハ!」

「本当、可愛い顔して露骨だよねぇ、あの子ぉ!

だってね、いきなり私に『石神サンの事どう思う!? 一晩どぉ!?』とかって聞くからぁ」

「で? で? 浅野サンは何て答えたん?」

「そやぁ、イイよねって」

「ソレだけ?」

「まぁ……大人の『イイよね』は、諸々の意味があるでしょ?

石神サン、女に そうゆう事 言わせるのが好き?」


 浅野サンは照れ臭そうに笑う。イイねぇ。そうゆう女臭いの大好きだわ。

オレはガッツリ頷く。


「スキスキ。あられも無いコト言わせるのスキ」

「ヤダぁ。サラリーマンとか言って、本当はホストとか?」

「まさかぁ。こんな冴えないホストいたらガッカリっしょぉ」

「そ? 私は冴えてると思うけど?」

「何処が?」

「う~ん、全体的に。見た目なんか特に」

「ありがと」


 コレは脈アリ判定でオレの勝利。

部屋には連れてけないから、オレが あの石神亮太郎ってバレんのヤバイから、オレらの2次会は、丁度この真裏にあるラブホで決定だわ。


「浅野サン、年下のオレでも不問なら弄んでくれマス?」

「どうゆう口説き文句!?」

「照れ隠しの賜物」

「も、もぉ……不問に決まってるでしょっ? ホラ、行こ?

私この辺 詳しくないから、普通に連れ込んでくれれば身構えなくてイイんだけど?」

「ンじゃ、迷子になったってコトにしてぇ、この道 突っ切ってラブホ行っちゃお~~」

「アハハハ! 石神サン、直球すぎる! アハハハ!」


 浅野サンの手をとって、オレは邁進。


 彼女はオレの救世主だよ、女神だよ。

何だかんだ抱ける女がイイって下衆なオレにとって、こんなノリノリの肉食系は有り難いんだ。


(ユーヤ君、大丈夫かな?

朝からピアノの練習して、昼間はバイトして、夜は合コンで、結構 疲れてんじゃねぇかな?)


 出来るだけ早く隣人のコトは忘れたい。

一目ボレから、ただの弟系隣人に降格させたい。

ひとえに、そんな努力の賜物だ。




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