龍と黒猫のバラード

櫻木柚子

1 イントロダクション

 


 あの時、煙草が切れていなければ。

 あの時、雨足が強くならなければ。


「たられば」なんて考えるほど何かに執着したことなど無かったこの俺が。

 こんな気持ちにならずに済んだ。

 こんなに無様にならずに済んだ。


 あの時、出会っていなければ。

「愛」なんて、知らずに済んだのに。










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