第31話 丁冲《ていちゅう》:酒を飲みすぎて死んだ曹操の幼馴染

 丁冲ていちゅうは魏の丁儀ていぎの父です。

 沛郡の人で、曹操とは昔から親交がありました。


 袁紹を盟主とした反董卓連合が起こったとき、董卓は洛陽を焼いて長安へ遷都します。

 このときの献帝の御車に、丁冲は付き従いました。


 董卓が殺されたのち、李傕りかく郭汜かくしのあらそいが起こると、献帝は荒廃した洛陽へと逃げもどります。

 

 この事態に丁冲は曹操に、

「あなたは政治の乱れに嘆息し、それを正す意思を抱いていました。いまがそれをおこなうときですぞ」

 と手紙を送りました。


 これによって曹操は献帝を出迎え、許昌に住まわせたのです。

 またこの功績により、丁冲は司隷校尉に取り立てられました。


 曹操が献帝を擁して天下に覇を唱えることができたのも、丁冲の手紙があったからなのかもしれません。

 

 当の丁冲ですが、酒が大好きでやめることができず、諸将を訪問するときにはかならず酒を飲み、やがて腸をやられて亡くなったとのことです。

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