第24話 阮籍《げんせき》:大酒飲みの「竹林の七賢」のリーダー

 これまでに何度か名前が出てきている阮籍げんせきですが、ここで紹介を。


 阮籍げんせきは字を嗣宗しそうといいます。

「竹林の七賢」のリーダーとして知られた人物です。


 三国志は政治や戦争の話がどうしてもメインになってしまいますが、ここでは文学の面から話をします。


 まず阮籍の父親ですが、建安七子の一人、阮瑀げんうです。


「建安七子」とはなにかというと、後漢の最期の天子・献帝(劉協。董卓によって擁立された人)のときに「建安」という年号があって、その期間に活躍した七人の文学者たちのことです。


 この時期の文学は「建安文学」とも呼ばれています。

 文学といっても小説ではなく、詩がメインです。文学者というのは詩人のことです。


 曹操とその息子、曹丕と曹植も詩人として名を馳せていました。

 そのため曹操は詩人たちのパトロン的な立場ともなっていたのです。


 その阮瑀の息子の阮籍ですが、大酒飲みで、役所に大量の酒があると聞けば、わざわざその役職を希望するような人物でした。

 仕事中でも母の葬式でも、つねに酔っぱらっていたといいます。


 また仕官したあとも病気を理由で辞職したりを繰り返していました(本当に病気なのか、ただ働きたくないだけなのかは不明ですが)。


 一説では、朝廷での司馬一族の専横が激しくなり、讒言によって殺される者たちも多いため、

「酒でも飲んでないとやってられん」

 と政治に関わらない態度を示したからともいいます。


 こうして酒を飲んだりしながら自由気ままに生きる阮籍とその仲間たちを、後世の人たちは「竹林の七賢」と呼びました。

 阮籍は蜀が滅びた年に亡くなったといいます。


 ところで阮籍は、気に入らない人がいると白目を剥いて見せ、また気に入った人には黒目(青眼)を向けました。


 人を軽蔑した目で見るときに使う「白眼視」という言葉は、これが語源になっています。

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