第4話

 それから一週間、俺は勉強に集中した。平均点を下回ったら一か月ゲーム没収、と母親から言い渡されていたので、いつにも増して気合を入れた。

 テスト最終日の放課後、俺は部活が休みなのをいいことに、学校からダッシュで帰宅すると早速ゲームの前に陣取る。

 ログインすると、レイは既にゲームを始めていた。

 ソロプレイ中だったレイが終わるのを待って、俺はチームを作成する。


 一週間振りのプレイだったが、勘を取り戻すまでに然程時間はかからなかった。

 気付けば、俺達は喋らなくてもお互いの考えていることが分かるようになっていた。

 レイは狙撃が得意なので、俺は爆薬やトラップ等を使ったトリッキーなプレイに磨きをかけている。それで体力を削ったところをヘッドショット一発で沈めるのが基本的な戦略だった。

 その日は、バトルロイヤルを五回プレイして三回 一位になった。ブランクがあった割には良い成績といえた。


「やっぱり、俺もヘッショの精度上げないとなぁ」

 体力を削るだけでは敵を倒したことにはならず、キル数が稼げない。

「いや、最初に比べたらそこそこ当たるようにはなってきてるよ」

「そこそこ、ね……」

 確かに、最初はそれはもうヒドいものだった。相手の頭に当てるどころか、自分の居場所を教えるだけで反撃されるのがオチだったのだ。

「相手の動きを予測して、タイムラグを計算に入れて撃たないと当たるものも当たらないから」

 レイの言っている事は正論なのだが、それが簡単に出来れば苦労はしない。

「俺はレイみたいに頭良くないからさー。感覚派っていうの? 野生の勘で……」

「ほら、だからマグは素直に爆弾投げてれば良いんだって」

 いつか百発百中で決められるようになって吠え面かかせてやる。と、俺は心の中で呟いたが口には出さなかった。


 俺のゲームスキルはぐんぐん上がり、レイとのデュオなら今ではかなりの確率で一位を獲れる程に成長していた。

 その日は先生たちの都合で学校は短縮授業・部活もなしになっていたので、俺はウキウキしながらゲームにログインした。珍しく峻ちゃんがいて驚く。

 彼はこのところスマホのアイドル育成アプリにハマっていて、ほとんどこっちには顔を出していなかったのだ。

 峻ちゃんはレイとデュオでプレイしていたが、すぐに倒されてしまったようで二人とも待機場所に戻ってきた。

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