便所から這い上がったある少女の生き様を描いたエモーショナル百合小説

非常に楽しませていただきました。
一言でまとめるなら、「中華系スラム街魔法少女百合」と言ったところでしょうか。ここでいう魔法少女は、人が死ぬタイプのやつです。
世界観、キャラクター同時の人情劇、そして彼女らが住む世界の匂いが漂ってきそうな表現力。そして何と言っても小説そのものの構成力でしょう。これは最後まで読んでいただいて、この作品から溢れ出るエモーショナルを味わってほしい。

自分の置かれた境遇にただ受動的に立ち回るしかなかった少女が、過酷な試練を乗り越えてついに相棒を見つけ、世界の表舞台へと旅立つ。
そして彼女らがどのような思いで最期を迎えたのか、読者はあくまで断片的な情報しか与えられない(もちろんほとん答えは出ていますが)。そんな演出が本来ならばハッピーエンドとは言えないかもしれない2人の旅路をロマンチックなものに飾り立てている。それこそ、この話の随所に散りばめられた「昭和」らしさを伴いながら。

これは月並みな表現ですが、なんだか生きる力をもらえました。読了したのは日曜日の夜という週で最も憂鬱な日ですが、リーリヤとタイガの生き様を見せつけられた今、明日からも頑張ろうという気持ちが湧き上がってきています。

素敵な作品をありがとうございました。あなたの執筆活動をこれからも応援していきます。