Angel Relief ――エンジェル・レリーフ――

鈍足のカッパ

零章 夢の終わり、彼の始まり

プロローグ

 眩しい人。


 どれだけ身体を痛めても、どれだけ心を痛めても、決して臆さず。


 暗く澱んでいた私を、朝日のように柔らかい笑顔で包み込んでくれて。


 誰よりも優しく、いつも微笑んでいた貴方。


 ちょっぴり変で、ちょっぴり間抜けだけど、いつも笑顔をくれる貴方。


 争いを嫌っているのに、一度剣を握り、鎧を纏えば誰よりも、何よりも強い。


 救いは無いと思っていた。

 

 生きる事を諦めた私に、生きる資格は無いと。


 救いを与える私に、希望を持つ資格は無いと。


 物語の様なハッピーエンドは、誰が望んでも世界が、運命が許さないと。


 そう思っていた。


 でも――――――貴方は来てくれた。


 救いを願った私の許に、来てくれた。


 怯え、傷付き、心を痛めながらも、来てくれた。


 だから―――――私は知っている。


 一度救いを求めれば、羽が舞い降りることを。


 黒と紅を纏い、貴方を象徴する剣を手に。


 救いが、貴方が、来てくれることを。





―――――――これは、一人が救われ、一人を救う物語。


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