その6

おねーちゃんがうちに住んでから1ヶ月経った。


いつの間にかおねーちゃんと出会ったころよりももっといっぱい見えるようになってて、たまに生きてる人なのかゆーれいなのか分からないときがある。


血塗れだったり体の一部がなかったり変なオーラ?が出てたら「あ、この人ゆーれいだな」って分かるけど、たまに見分けつかない人もいるから困るなぁ。



それをおねーちゃんに相談したら変な日課ができた。



「あの人は生きてる人!」


ジョギングしてる人を指差す。


「残念。幽霊です」


おねーちゃんがちがうって言う。


「あ、あそこにいるのはゆーれいだよね!」


片腕がないおじさんを指差す。


「正解。ああいう分かりやすいのも結構いるわよ」


やった!当たってた!



バードウォッチングならぬ、ゆーれいウォッチングをしてます。



「おはよう。今日も幽霊観察してんの?」


「おはようパパ!ゆーれい見分けるの大変だね!」


「そのうちなんとなーく分かるようになるって」


「そっかー!」


「二人ともご飯だよー」


「わーい!お腹すいたー……あれ、ねぇママその人だぁれ?」



私の椅子に座ってる知らないお兄さんを指差して聞くと、ママは?を浮かべた。



「何言ってんの、ママとパパとあんたしかいないじゃない」



この人ゆーれいだった。全然気づかなかった。



おねーちゃんがすかさずお兄さんを追っ払ってくれた。


はー、これでゆっくりご飯食べれる。


椅子に座っていただきますした。



そのとき、



「おいしそうだねぇ。わしにもちょうだい」



顔の半分近く骨が出た見知らぬおじいさんが私の隣に立っていた。



びっくりして箸落とした。

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