世界を切り取る未知の渦。その危険地帯の中心へ、今日も奴らは直走る。

 転移。それは、突如虫食いのように世界に穴を開ける、未知の災害の名称だ。人々はこの転移により住む場所を奪われ、場合によっては命の危険にも晒されながら、流浪の生活を強いられていた。

 だがそんな厄介な災害にも、メリットがある。転移が起き、切り取られてしまったそのエリアには、入れ替わるように異世界の土地が広がり、未知の宝が眠っているのだ。それを求める者達、追跡屋《チェイサー》は、日々転移を追って駆け回る。

 危なっかしいこの稼業を営む者達の間でも、とびっきりの命知らずがいた。それが本作の主人公、「狂血のチェイサー」ことセイジ・キササギと、彼の相棒であるミサキだ。

 兎に角こいつら、ぶっ飛んでる。一周回って馬鹿なんじゃないかって思わせる程の、無謀な作戦を立てては実行し、転移による異世界の宝では無く、転移そのものを追い求めるのだ。命を懸けてまで、何で毎度災害のど真ん中へ突っ込むかって? その理由は、読んで確かめて頂きたい。

 転移の正体は? そもそもこいつの原因は? 本当に異世界なんて、どこかに存在しているのか? どうやら国も追いかけているこの現象、ただの災害とは思えない。セイジ達と共に、この謎を追うのも楽しいだろう。

 だがその際、忘れてはいけない。彼らは探偵でも役人でも無く、「狂血のチェイサー」であるという事を。 

 息もつかせぬ怒涛のアクションSF。是非皆様も、ご一読。

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