第27話 戦闘開始

「命の精霊よ、精神を狂わせっ」


マリガが呪文を完成させると周りの空気が震えた。


すると、オオオオォォォォォォォォーーーーーーーーッ。周り中からうなり声が聞こえる。



「たしかクラークさんはオーガ20体と同等ですよね」




ズンズンとでかい質量の物が歩く足音が聞こえてくる。




「だったらオーガ8体とほかたくさんの魔物ならどうですか?」




グォォォォォォォォォォォオォォオ。




「オーガ20体と同等のクラークさんと転生者の息子さんと一緒ならきっと余裕ですよね」




バキバキバキバキ




周りの木が倒されていく音がする。




「あっ今は制御にいっぱいいっぱいですからこちらに攻撃されると困りますし、倒したところで止まりません。それどころか私たちが倒されると確実に暴走しますよ、そして周りで動いている者や王都グレールには向かいますよ」




ウガガガカアァァァァァァァア。




「もう少し集めてこれでグレールを襲う予定だったのですが、仕方ありませんね。ここで死んだら集めた意味がないものですものね」


俺たちの目の前にオーガ大鬼や多数の魔物が現れる。図鑑で見たものよりも迫力があった。


「まあ仲間のほとんどが死にましたし、計画の前倒しってものいいものですよね、では『お楽しみください』」


マリガは俺に軽くお辞儀をしてわざわざ『お楽しみください』という言葉を前世の言葉日本語で言いやがった。


俺たちは周り中魔物に囲まれている。


オーガが8体、ミノタウロス10体、サイクロプス4体、ハーピー2体。全部図鑑みた知識だが全部銀級以上の高レベルの魔物ばかりだ。そのうえオークとゴブリンが50匹前後ぐらいいる。


「と、父さん」


「な、なんだいラーク」


「本当にオーガ20体を倒せる?」


「…………多分………嘘、ごめん」


今謝ったなぁぁぁーー。まあそうだろうと思った。

それと普通ならば、この数は絶望的しかないだろう。一斉に襲われたらまず勝ち目はない。


「これは魔物使いか?」


俺はマリガに聞く。テイマー魔物使いにしても大規模すぎるのだが……こうなったら少しでも情報をもらおう。


「うーんこの世界に『テイマー』という職業も言葉はないですよ息子さん。やっとボロを出しましたね。これは私が開発し完成させた魔法で、魔物を意のままに操る魔法です。でもまあ名前を付けるなら『テイマーの魔法と言うかポ〇モンの魔法と言うところですよ』操れるだけの魔物をここまで集めるのは苦労しました。本来はこれの5倍以上の数が集まる予定でしたが急遽の発動させたからこんなものです。でもあなた方だけならこれでもいけるでしょう?」


日本語で言ったが、ポケ〇ンを知っている年代か?


「前世で何歳だった?」


もういいや、クラークは俺を信じてくれる。ばれても大丈夫。


「おやおや、もう隠さないのですね。私は7歳の『小学生』で事故で死にましたよ、あなたは?まさか聞くだけではないですよね。それだとショックで暴走しそうです」


マリガが脅しをかけてきた。仕方がない。


「言うよ『31歳、お前と同じ日本人でオッサンだったよ』」


日本語でごまかした。さすがにクラークと同じ年だったとは本人の前では言いたくない。


「ほう、だから知識はあったのですね、もしかしてパスタはあなたが開発したのかな?久しぶりに食べたパスタは美味しかったですよ」


マリガがニヤニヤしながら言う。周りの魔物たちが唸り声をあげているが、まだ襲い掛かる感じはない。


「どうしてそっちは俺みたいに物を作らなかった?前世の知識で有利になるものもあるだろう」


そこが聞きたい。もしこの世界に俺らみたいな転生者がいるのならもっと地球の物があるはずだ、ここの食生活とかいろいろと原始的すぎる。


「簡単です。それだけの知識がないからですよ。『テレビ』を操作出来ても『テレビ』を作ることは出来ないのと一緒で、都会育ちだった私はこの世界の材料から前世の物を作ることが出来ないからですよ。あなたは大人なりの知識があるから言えますが、普通はそんなものですよ、確かに初めは苦痛の毎日でしたが、さすがにこの生活はもう慣れましたね」


俺は元々田舎暮らしで祖父や祖母にいろいろと教えてもらっていた。だから木炭や味噌とか醤油が作れた。趣味で料理もしていたし、仕事がIT関係だったから魔法のプログラミング化が出来たのだった。


「この世界にわたる時に貰える能力で魔法の能力とか剣技の特化みたいないろいろ恩恵チート能力はありましたけどね、そちらの能力は?魔法を無詠唱で唱えれると見たところ魔法の特化ですね」


ニヤニヤとしながら話すマリガ。


「うーんどうだろう?魔法はチート化は俺の計算によるものだと思っていたのだけどな。詳しくは教えないけど大学いけるぐらいの知識があれば誰でも簡単に思いつくよ」


魔法に関してはチート感少ないかも、命の精霊魔法は使われているのなら違うかもしれない。


「へぇーその方法知りたいですね。ラークくんに興味が湧いてきましたよ」


げっ藪蛇言った。こんなこと言うのではなかったよ。クラークの息子呼びだったのがラークに変わったしマリガに興味を持たれた。

舌をペロリとするマリガは、イケメンだけになにかやらしい動作に見える。


「ラーク君はよく見ると可愛いですね……可愛がってあげたいですね」


おいっ今なにか、ものすごくゾクッとしたぞ。


「ラークは可愛いのは認めるが、お前には触らせないぞ……ラーク気を付けろよ。マリガは以前にお父さんに愛の告白してきたぐらいだから男でも全然いけるぞ」


「えっ?どっどっいうこと??!」


今さりげなくとんでも発言を聞いたけど?マッチョ体型のクラークに愛の告白ってガチすぎるぞ。


「私は前世は女だったし男女ともに好きですよ、クラークさんはあの当時はカッコよかったですからね、強かったし私が負けた初めての人だったしね」


マジか?クラークって女だけではなく男にもモテていたの?ちょっと凄すぎる。

やりちんは男相手にもしてんの?


「当時か……」


おーいそこ?クラークそこで落ち込むな?!


「もちろん今でもカッコいいですよ、中年の魅力というかな?それは安心してください。…………そろそろ雑談を辞めていいです?これ以上そちらのお仲間を逃がす時間はこちらに不利になりますからね、クラークさんがグレールを守るためにここで頑張るとは思えないしね」


ちっこっちの計画がバレたか!マッシュたちがいるとはいえシルフやポポとかの非戦闘員を守りながらはキツイだろう。


「中年……」


「ちょっ、父さんそこをショック受けない!」


俺はクラークにツッコミを入れながら、準備終わっている計算し終わった魔法を同時に発動させる。



ウガッガァァ


周りのオークやゴブリンが倒れていく。

マリガなら気づいたと思うが、目の前にエナジー生命力が浮かんでいるのを。


「おおおっ」


その奪いとった生命力エナジーをクラークに入れ、そのうえで風の防御魔法と加速魔法を入れる。


「父さん、ちょっと加速が強いかもしれないけど、実戦で慣れてね」


クラークならきっとすぐに慣れるだろう。


「すごいな、同時に魔法をいくつ掛けれる?すごいな、今のは命魔法による体力回復?と風魔法の加速魔法か……間違いなくそれはチート能力ですね。もし計算だけで誰でも使えるならその方法教えて欲しいです」


マリガは驚きと悔しそうな気持ちを混ぜた表情をしている。


「多分同時に2.3つはいけるよ。もしかして体力回復って魔法は一般的ではない?」


「そうですね、傷の治療はあるけど敵から体力を奪って回復は、完全ラーク君の創作魔法でチート能力です。自慢していいですよ!可愛い顔してやりますね」


おっしっ俺のチート能力SUGEEEEと思っていると、マリガが腕を振り上げる。

すると周りの魔物が一斉に襲い掛かってくる。

ちっ来たか。


「父さんはオーガとかを中心に倒すか動けなくして!俺はフォローとハーピーを倒す」


俺は加速魔法と防御魔法肉体強化魔法を発動しつつ、後ろに下がる。


「おうっ息子と戦える日が来るなんて、お父ちゃんは感激っ……………ラーク……はえぇぇよ」


瞬時に移動したクラークがオーガの後ろの方で派手にコケていた。加速させすぎたか?



グゲェーーー


身体が鳥で顔が人間のハーピーが俺を襲い掛かってくる。人型に近い魔物は初めてだが今戸惑っている暇はない。


「いけっ」


俺の背後の洞窟の一部が砕ける。土魔法で作った洞窟は、土魔法による再構成が容易だ。それが無数の拳大の尖った石に変わるとふわりと浮かび、風魔法で高速でハーピーに向かって行く。


ドゴゴゴゴゴォォォオォォォ


ハーピーに当たる。一体のハーピーには頭に見事に当たり即死をしたが、もう一体は翼で塞いだせいか俺の目の前に墜落した。


「でぃいあああぁ」


俺は加速で瞬時に近づき、剣を振るってハーピーに止めをさす。


ギャアァァァァァ


ものすごい断末魔とともに死んでいく。

怖いけどやるしかない。


「おおおぉ、ラークってカッコいいっ、お父さんはラークに抱かれたい」


クラークの方を見るとすでに一体のオーガの首を切り落としていた。さすがっクラーク、もう慣れたか!


「いやっそれはないよ」


てか、クラークを抱くとかありえないから。

でもおかげで緊張が解けた。




「やりますね!でも」


マリガが腕を振るうと残りのオーガ達がクラークを一斉に襲う。


「くっ」


普通の魔物ならがこんなにも息を合わせてくることがないだろう。それも体長が3メートル級のオーガやサイクロプスなどの大型魔物だ。いくら加速をしているからとはいえ、一人ではキツイだろう。しかも逃げ場所には他の魔物が常にいて思うようにやれていない。


俺が出来ることは……。


「お父さん上手く使って」


俺は地面に触れると地面が盛り上がっていく。中から勢いよく巨大な岩が出てきてくる。


オーガクラスの魔物は皮膚が固いので突き刺さらずもろともせずに、岩をはじき返されるが5メートルぐらいの岩が階段に出てきて、クラークとオーガ達の周りを囲む。


「おっこれはいいや」


クラークはその岩を足場にして飛び回る。


ザクッ

グオギァオォォゥゥゥ


ザクッ

アアァグワ


グサッ……バシュ

ギャァァァァァ


クラークはまるでビリヤードの球が弾けるように、岩の間を飛び回って魔物を倒していく。

俺はゴブリンやオークをクラークの邪魔をしないように狩っていく。














「風の精霊よ、我が力を使い雷の精霊を生み出し、我に敵対する物を我が意思を使い、敵を喰らい尽くせ」


マリガが呪文を唱えると大きなカミナリがクラークを襲う。


バリバリバリバリバリッ


クラークの身体を確実に電撃が貫いていた。 




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