異世界に転生したらモテモテでした。

ジャイアン

第1話 プロローグ

痛い……。



身体中が痛い、その上全身が段々と冷たくなっていくことがわかる。



俺が乗っていたバスが事故にあったのだ。




8歳年下の弟の結婚式にでようと、バスを使って実家に帰ろうとしたのだが、まさか運転手がスマホに夢中になって車線をはみ出して逆走した挙句、対向車線のダンプに激突するとは思わなかった。


バスが蛇行運転していたし、一番前の席なので運転手をみたらまさかスマホをいじっいているとは思わなかった。


俺が立ち上がって、


「おい!危ない!前見ろっ!!」


と叫んだ次の瞬間にはすでに対向車のダンプと激突していた。



こんなことならケチらず電車で帰ればよかったと思ったがすでに遅かった。



自分の下半身がつぶれて……と言うかちぎれているのがわかる。


……なぜわかるって目の前に自分の下半身があるからだ。


バスを見ると原型がないぐらいに完全に潰れている。

たしか20人ほど乗っていたけど、多分生き残っている奴は誰一人いないだろ。でも知らないうちに即死したならそれも幸せかもな。


今の俺みたいに、自分の下半身と内臓を見ながら、死んでいくよりはかなりマシと思える。


しかも一度も使ったことのないあそこが無くなってしまった。


生まれてから31年間ションベンとオナニーしかに使うことがなかったけど、まさかこんなことになるとは思わなかった。


あっ…このまま死ぬと部屋にパソコンの中とか見られるのか……もう死にたい……まあ死ぬけどさ。


通販で買ったアダルトグッズや薄い本……エロ同人誌とか……家族や大家に見られてそれを片付けられるってさ……。


俺がどんな悪いことしたんだ。


俺は今までに人に迷惑かけることはしていないぞ。



段々と意識が遠のき、目の前が暗くなっていく。


痛みも感じなくなってきた。


頭の中には走馬燈が浮かび、今までの人生を思い出していた。



走馬燈が浮かび終わった後は、自分の人生がろくでもないことに気づく。


31歳にもなって童貞だった人生……30超えて童貞なら魔法使いになれるって言っていたけど、俺は魔法使いにはなれかった。




あーーーーー生まれ変わったら凄腕の魔法使いになってモテモテ男になってやりたいぞ。


それも、もう誰も叶わないぐらいのモテモテ男になって、それのせいで苦労をしたいわ!


不細工に生まれたから今度は絶対にイケメンがいい、それで出会う人みんなとやりまくってやる!


セックス三昧の日々を送って生きていきたい。



『その願いかなえましょう』



突然、声が聞こえてきた。


女性でも男性でもない不思議な声。


それが頭の中に響くように聞こえる。



「えっ誰?」


俺が聞くと。



『私は神です、あなたちは本来は死ぬべきではなかったのですが、私の手違いで事故が起きてしまったのです。』




「えっマジか……本当ですか?」


思わずタメ口で言ってしまったので、言い直した。


『もうその身体では無理ですが、私の管理している一つの世界で貴方の希望する身体があるので、その身体に転生させてあげましょう』



「それはありがたいです。お願いします」


まるで無料で読めるラノベサイトに載ってもおかしくのないような、安っぽいライトノベルのような展開なのに、変に納得している俺がいた。


どう考えてもこのままよりは何倍もいいはずだ。


『では、転生を実行します、新しい人生を謳歌しなさい』


「はい、お願いします」


そして俺は完全に意識を失った。












…………………おんぎぁ、おんぎゃ…………




目の前が明るくなったと思ったら耳元で大きな鳴き声が聞こえてくる。



「oykp;tb;tt.r**s@」



「gdfkbr,p:**@;:t;」



いろいろな人の声が聞こえるが言葉が全くわからない。


俺は目を開けてみるが周りがぼやけて全然見えない。


今の鳴き声は俺が出した声か?



とりあえず異世界に転生は成功ってことか?全く聞いたことのない言葉なのでたぶんそうだろう。


言葉が全然わからない。



まあ異世界に転生したのだから当然ですぐにわかるわけがない。よくあるライトノベルで転移や転生したら言葉がわかるって、不自然だよなと思っていたからへんに納得してしまった。


まあこれから徐々に覚えていけばいいや、これからは俺の新しい人生の始まりだ。



記憶が残っているのはよくある展開だが、俺的には神様からのおまけと思って利用させてもらいますよ。


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